野党は5日、「公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案」(公文書管理法改正案)を6会派(立憲・希望・無所属の会・共産・自由・社民)で、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案」(情報公開法改正案)を5会派(立憲・希望・無所属の会・自由・社民)の共同で衆院に提出した。

 提出議員がそろって法案を衆院事務総長に手渡したのちに記者会見。野党共同提出となったことの意義を記者から問われ、無所属の会の中川正春議員は「こうして野党が連携して物事が進められることに対して、国民の皆さんもひとつの期待感があると思うので、大いに話し合いをしながら連携していきたい。同時に法案そのものが民進党(から)出発というベースがあって、今回(共同提出という形に)乗りやすかったが、そうでないものについても連携していくことが大事だと思っている」と語った。

 原口議員は「今回の会計検査院の報告は行政文書であるか否かではなくて、会計検査に足るだけの資料さえなかったと。これほどひどい。だから政府をチェックする立法府がまとまってこういう改正案を出す意義はたいへん大きい。国民の知る権利、まさに公正な行政についてのチェックの、ひとつの大きな一歩だ」と述べた。

■公文書管理法改正案

 森友学園問題をめぐる国有地売却価格算定手続きの適正性に関する会計検査院報告書でも売却価格算定根拠の記録が不充分なことの指摘があったり、加計学園問題も含めて現行の公文書管理の在り方が障壁となっていることから、改正案では第1に「閣議、閣僚会議、NSC」に加え、「省議」等についても、議事録及び審議会等の議事録についての作成義務を明記する(許認可等を行う場合に大臣から諮問された審議会等の議事録の作成義務も明記)。

 第2に、「議事録に、開催日時、出席者、議事の経過その他の政令で定める事項を記載しなければならないことを明記する(議事録の記載事項を明らかにし、政令も公文書管理委員会に必ず諮問)。

 第3に、「閣議、閣僚会議、NSC」に加え、「省議」等についても、30年間を超えない範囲で政令で定める一定期間経過後に原則公表しなければならないこととする。

 行政文書の定義も見直すこととし、行政文書の要件のうち、「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」との部分を削除する(職務上作成した想定問答についても行政文書となる。また、職務上作成・取得された文書は、組織的に用いなくなったものも行政文書に当たる)。これにより、森友学園問題の国会審議の際、「想定問答」「個人的なメモ」との理由で公文書ではないと役所側が主張した文書も公文書に該当するようになる。

PDF「公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案概要」公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案概要

PDF「公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案」公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案

PDF「公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表」公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案新旧対照表

PDF「公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案提出者」公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案提出者

■情報公開法改正案

 情報公開制度が「国民の知る権利」を保障する観点から定められたものであることを1条で明示するとともに、同制度を「国民の知る権利」の保障にふさわしい充実した内容に改正するもの。

 不開示情報規定及び部分開示規定を見直し、開示情報を拡大(5条・6条)、情報提供制度の充実(25条)、開示請求手数料を原則として廃止するなど手数料の見直し(16条)、開示請求から開示決定等までの期限を「30日」から「行政機関の休日を除き14日」に短縮する(10条)といった内容が盛り込まれている。

PDF「行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案概要」行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案概要

PDF「行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案」行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案

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