• 民進党政権公約原案(2017年9月28日時点)の公表について


    民進党政務調査会長  足立信也

     昨年9月28日に衆議院が解散された際、民進党は総選挙準備として政権公約原案をとりまとめていましたが、結果的に公表する機会を失ってしまいました。
     今般、党所属の地方議員から、民進党の姿勢や方針がわかりにくい、という声が寄せられたこともあり、民進党政権公約原案(2017年9月28日時点)を公表することと致します。
     この政権公約原案は、民進党の政策議論の到達点をまとめたものという位置づけであり、通常国会における予算、法案審議への対応、議員立法策定や政策立案などに際して基礎となるものです。
     民進党は、今後も安倍政権に対峙し、国民生活の向上と安全のため、積極的に政策活動を展開していきます。
     今回公表する民進党政権公約原案(2017年9月28日時点)を通じて国民の皆様方に民進党の政策を知っていただき、ご支援・ご鞭撻を頂きますよう、心から願っています。


【参考資料】民進党政権公約原案
(2017年9月28日時点)


PDF「2017民進党政権公約原案(参考資料)」2017民進党政権公約原案(参考資料)

All for All 子育て・教育 子どもたちの幸せを願う社会へ

1.就学前保育・教育を無償化します

 保育の質と量を確保しながら待機児童の解消を推進します。すべての子どもたちが安心して保育園・幼稚園・認定こども園などへ通えるようにします。そのため、就学前保育・教育を無償化します。親の所得制限は設けません。

2.保育士・幼稚園教諭等の待遇改善を図ります

 保育士等の専門性と教育の質を高め、一人当たり月額5万円の賃金引上げ(平成28年度対比)を行い、大幅な待遇改善を図ります。

3.「子ども手当」をすべての子どもに給付します

 「社会全体ですべての子どもの育ちを支援する」という民進党の理念のもと、与党が設けた子ども手当の所得制限を撤廃し、すべての子どもたちの命と育ちを保障する社会をめざします。あわせて、財源の確保に留意しつつ、「子ども手当」の拡充についても検討します。

4.小中学校の学校給食費を無償化します

 学校給食の実施率を高めつつ、すべての子どもたちが健やかに育っていけるよう、小中学校の学校給食費を無償化します。

5.所得制限のない高校無償化を復活させます

 すべての子どもが等しく教育を受ける権利を保障するため、高校の授業料無償化について、与党が設けた所得制限を撤廃します。

6.大学授業料の減免、奨学金の大幅拡充を進めます

 やる気と能力があれば誰でも大学に進学できる社会を実現するため、教育の質の確保・向上を図りつつ、大学等の授業料を大幅に減免し、将来的には大学の無償化をめざします。また、給付型奨学金等の大幅拡充を進めます。

7.子どもたちに、安心で安全な環境をつくります

 いじめや不登校、部活動、進路など、子どもたちの悩みや苦しみに寄り添い、一人ひとりの学びを保障するため、少人数学級の推進、学校現場への専門家配置、フリースクールへの支援を積極的に行います。

8.子どもの貧困と虐待をなくします

 親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切るため、児童扶養手当の拡充など、子どもの貧困対策を進めます。

 児童相談所、児童養護施設などの関係機関の機能を充実させ、民間団体との連携を強め、虐待防止対策と虐待を受けた子どもの保護を強化します。

All for All 働き方 働くことは楽しいと思える社会へ

1.長時間労働を規制します

 残業が当たり前の働き方を変えて、働く人の心や体の健康を守り、子育て・介護等と仕事が両立できるように、長時間労働をなくす法律をつくります。

 今の政権がめざす労働時間の規制を外す「高度プロフェッショナル制度」の創設、長時間労働の温床と指摘されている裁量労働制の対象業務拡大は、過重な長時間労働を促進するものであり、反対します。

2.同一価値労働同一賃金を実現します

 性別や正規・非正規の違いを問わず、同じ価値の仕事をすれば同じ賃金が支払われることをめざし、「同一価値労働同一賃金」の法律をつくります。

3.「全国どこでも誰でも時給1000円以上」を実現します

 中小企業に適切な支援をしつつ、全国どこでも誰でも時給1000円以上となるよう、最低賃金を引き上げます。

4.育児休業の取得を促進します

 育児休業給付の実質100%支給への拡大、中小企業で働く人や非正規労働者の育児休業取得・復職、代替要員の確保の支援等によって、男性も女性も育児休業を取得できる環境を整備します。

5.職業教育・職業訓練を強化します

 たとえ失業しても再チャレンジでき、技術革新による新しい産業の創造も同時に促していけるよう、職業教育・職業訓練を進め、多様で質の高い人材を育成します。

6.働き方における課題を解決します

 パワーハラスメントの防止、教職員や医師を含めたすべての人の長時間労働の規制、ワークルール教育の推進、フリーランサーの労働環境の整備、労使自治の強化など、働く人が抱える様々な問題や課題に真摯に向き合い、誰もが健康で安心して働けるようにするための法律の制定に取り組んでいます。

7.基礎的所得保障(日本型ベーシックインカム)構想を実現します

 基礎的所得保障構想※は、尊厳ある生活を守り、生活保護に至る前のセーフティーネットとしての役割も果たします。就労意欲を高め、住まいの安心を確保するために、住宅手当等を含めた必要な給付を行います。

 ※基礎的所得保障構想は、税による所得再分配を進め、格差を是正します。まず、所得税制における「所得控除(基礎控除、配偶者控除等)」を整理し、「税額控除」に組み換えます。次に、働く中低所得者層の暮らしを支えるため、働くことによる所得増加につれて給付又は税額控除が増えていく「就労税額控除」等の「給付付き税額控除」を導入する構想です。

All for All 医療・介護・年金 100歳時代の安心システムへ

1.介護職員などの給与を引き上げます

 介護・障害福祉分野の深刻な人手不足の解消に向けて、介護職員・障害福祉従事者の月給を1万円引き上げます。

2.診療報酬、介護報酬を引き上げます

 病院が受け取る診療報酬、介護事業者が受け取る介護報酬を平成30年度改定で引き上げること、看護師など医療従事者の労働条件を改善することなどにより、医療・介護サービスの質を確保し、いのちや暮らしの基盤を立て直します。がん・難病患者を含め、必要な人が必要な医療や介護サービスを安心して受けることができるようにします。

 要介護1、2の生活援助サービス等については現行制度を維持し、軽度者に対する介護サービスを、将来にわたり全国で十分な内容と水準で提供されるようにします。

3.医療・介護の自己負担を軽減します

 医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設け、安心してサービスが受けられる「総合合算制度」を創設します。

4.地域包括ケアシステムを進化させます

 中学校区を目途に保健・住まい・医療・介護・障害福祉・生活支援の提供体制を一体的に構築する地域包括ケアシステムを、子どもからお年寄りまで全世代を支援するシステムへと進化させ、地域コミュニティの再生に努めます。

5.年金の信頼を取り戻します

 「消えた年金」の再発を防ぎ、適正な年金の支払いを確保します。最低保障機能の強化、世代間公平の向上に向けた年金制度の抜本改革に取り組みます。

 会社で働いていれば原則として厚生年金、健康保険に加入できるとをめざし、非正労働者への適用拡大をさらに進めます。

 約10万人分、約600億円の年金の支給漏れが明らかとなりました。政府に徹底した真相解明、他に支給漏れがないかの徹底的な調査等を早期に行うことを強く求めます。

6.ギャンブル依存症への対策を最優先させます

 ギャンブル依存症が本人及び家族に深刻な影響を及ぼし、重大な社会問題となっているため、ギャンブル依存症対策基本法の制定を含め、総合的かつ計画的な対策に最優先で取り組みます。カジノについては、賭博が犯罪とされていることなども考慮し、慎重に議論をします。

All for All 多様性・共生・人権 様々な価値観と個人の尊厳を大切にする社会へ

1.多様性を尊重する社会をつくります

 ヘイトスピーチ対策法を発展させた、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律、LGBT差別解消法(性的指向や性自認で差別させない法律)を制定し、多様な価値観と少数者の人権を尊重する社会をつくります。

2.障がい者の地域生活を支え、人権を守ります

 障がい者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、障害者差別解消法の実効性のある運用をめざすとともに、当事者の声を障がい者政策に反映します。

障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び、働くインクルーシブ教育・雇用を推進します。

 精神障がい者の人権を侵害するおそれのある法改正は許しません。

3.自殺に追い込まれることのない社会をめざします

 自殺対策基本法に基づいて国と地方が連携して全国的な自殺対策を推進することなどにより、困っている人に寄り添い、一人でも多くのいのちを守ります。

4.男女共同参画社会を実現します

 女性の人生での様々な場面での選択を広げ、家庭で、職場で、社会で女性の力が発揮されるよう、より一層の男女共同参画社会の実現を図ります。

 結婚する時の姓について、それぞれの夫婦の選択が尊重されるよう、選択的夫婦別姓を可能とする法律をつくります。

5.国政選挙へのクオータ制の導入

 民進党は、政治分野で「男女同数候補」をめざす法案と、衆議院比例代表選挙区に「男女交互名簿」の採用を可能とする法案を提出しました。地方議会をはじめ、あらゆる意思決定の場に女性の参画を進めます。人口の半分を占める女性の声が、正当に議会へ届く環境をつくり、政治を変えます。

6.性暴力被害者を守る支援センターを各都道府県につくります

 DV(ドメスティック・バイオレンス)防止法やストーカー規制法の改正を進め、被害者の尊厳を傷つける犯罪に厳しく対応します。また、警察に届け出なくても、性暴力被害者のこころ、からだ、暮らしをワンストップでいたわり、支援できる仕組みをつくります。

All for All 財源 暮らしを支えるみんなの税

1.税の抜け道をなくします

 公平・透明・納得の税制に向け、所得税や法人税の抜け道をなくし、租税の回避行為を厳しく制限します。法人税については、国際的取り組みである「税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクト」を促進します。所得税・相続税については、法定調書制度の拡大を検討するとともに、居住者が国外に保有する資産の情報を名寄せできるようにする取り組みを進めます。

2.個人と企業の税負担のバランスを見直します

 大企業や富裕層にも公正で応分の負担を求めます。法人税の減免措置(租特)については、旧民主党政権が制定した「租特透明化法」による国会報告に基づき、効果が不明なもの、役割を終えたものなどは廃止します。また、金融所得課税の税率の5%引き上げ等を進めます。

3.相続税を次世代のために見直します

 相続税については、平成27年1月1日より行った負担増の影響を見極めつつ、格差是正の観点から、中長期的には最高税率を含む税率構造の見直しを行います。

4.消費税をみんなのために使います

 消費税率を8%から10%に引き上げる際に、その使いみちを見直し、医療・介護・年金・子育ての充実に加え、教育目的にも使えるようにします。これにより、就学前教育の無償化・質の向上や大学授業料の減免等の財源を確保します。

 軽減税率制度は、所得の多い人たちにも恩恵があり、格差是正効果が乏しく、むしろ逆進性を高める場合もあります。民進党は、最も効果的な逆進性対策である「給付付き税額控除」※により対応します。

 ※食料品購入のために払った消費税の一定割合を所得税額から除き、所得税よりも除く額が大きい場合は、その差額を納税者に給付します。いわば、低所得者の税負担を軽くするための制度です。

地域を守る

1.一括交付金を復活させ、地方が自由に使える財源を確保します

 地域のことは地域で決める「地域主権改革」を推し進めるため、各府省の「ひも付き補助金」を見直して、地域の自主的な取り組みに対応して柔軟に予算配分を行う「一括交付金」を復活させます。これにより、自治体が住民とともに知恵と創意を生かし、より効果的に財源を活用できるようにします。

2.雇用を支える中小企業を支援します

 正社員を増やした中小企業を応援するため、増えた社会保険料の事業主負担の2分の1相当額を助成します。中小企業の技術を伝承し経営を支えるため、支援税制(事業承継税制、交際費課税等)を拡充し、インボイス・外形標準課税の適用拡大は行わず、第三者保証制度は禁止します。

3.農業者戸別所得補償を復活させ、6次産業化を推進します

 農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化で営農を支え、農業者所得を安定させます。農業を地方再生の柱とするため、農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)制度の充実とともに、農林水産業と工業、商業、観光業を組み合わせた6次産業化を加速させます。食品トレーサビリティを促進し、安全・安心な農林水産物・食品の提供体制を確立します。

 農協法を見直し、生活や医療、福祉など地域における様々な機能をも支える組織として「地域のための農協」を法律上明確化します。

4.山を守り、災害を防止し、林業の発展をめざします

 森林を適切に管理・保全することにより、土砂災害の防止や水源のかん養など、多面的機能を向上させます。森林・林業再生プランに基づき、木材の安定供給の強化、国産材の利用促進を図り、本格的な主伐期を迎える林業をさらに発展させます。

5.適切な資源管理により漁業を活性化させます

 水産資源が減少傾向にあることから、資源管理の強化・拡充により、持続的利用の確保と漁業経営の安定を図ります。

6.地域の交通・住宅に関して快適な環境をつくります

 自動車に関連する税金の負担を軽減するとともに、高速道路の活用を促す料金制度を検討し、地域の活力につなげます。地域の公共交通を活性化し、誰もがどこにでも移動でき、社会参加の機会が保障され、ゆとりと豊かさを享受できる社会を実現します。

 住宅ストックの耐震強化、断熱改修等を促進することにより、住宅の質を高め、中古住宅市場を活性化し、リバースモーゲージの活用につなげます。また、すべての建築物の断熱を義務化することにより健康寿命を延ばします。

7.観光・文化芸術・スポーツを振興します

 観光需要を地域経済のエネルギーとするため、観光人材を育成し、有給休暇を取りやすくします。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックを成功させ、開催による経済効果を各地に届けます。若者も高齢者も障がい者も、ともに文化芸術・スポーツに参画できる環境を整備します。

経済を守る

1.日本発の「世界でたたかえる産業」を育成します

 人々の生活を豊かにする新産業やベンチャー企業の創出に向けた人材育成を進めるとともに、投資減税などにより、第4次産業革命(IoT、ロボット、人工知能、ビッグデータ、自動運転等)や、最先端の技術革新などを後押しする研究開発、生産性向上にかかる支援を拡充します。また、国際リニアコライダーの国内誘致を最優先に実現します。

2.「投資立国」に向けた環境整備を進めます

 大胆な規制緩和などのハード、知的財産権取得などのソフトの両面で中小企業をはじめとする企業支援を強化し、生産性の向上、企業の活躍分野の拡大、起業倍増を図ります。 ソフト面での設備投資等に対する支援を強化するとともに、ビッグデータの活用、電子政府化の加速など、データ経済化への対応を進めます。また、経済社会の活力を維持し、国際社会の平和、我が国の安全保障に資するため、サイバーセキュリティに関する施策を強力に推進します。

3.異常な金融緩和政策を正常化します

 無理やり物価や株価を引き上げようとしても、賃金上昇が追いつかなければ暮らしは苦しくなる一方です。マイナス金利は、預金者にデメリットが大きいだけでなく、金融機能低下を招きかねない政策です。日本銀行に対し、デフレ脱却・為替の安定化に努めつつも、マイナス金利は撤回させ、金融政策は現状を踏まえ、より柔軟に行うように促します。日本銀行の異常な国債購入による財政ファイナンスをやめさせます。

4.中小企業や「新しい公共」にもお金が回るようにします

 無担保・無保証制度の推進などを通じ、中小企業の資金繰りを徹底的に支援します。

 中間支援組織などに対する新たな財政的支援制度の創設、社会的投資促進税制などにより、身近な分野において共助の精神で活動するNPO団体などを支援し、「新しい公共」を推進します。

 公共調達等における取り扱い、就労・起業、空き家等の遊休資産活用などにおける支援を進め、地域社会の課題解決と雇用創出を図ります。

エネルギーと環境を守る

1.分散型エネルギー社会を実現します

 エネルギー協同組合の設立を認めることなどを内容とする分散型エネルギー社会推進4法案を制定します。太陽光、風力、地熱、バイオマス、水力など、地域にある資源を活かしてエネルギーを生産し、それによる収入で雇用を生み出し、地域経済を活性化させます。

2.グリーンエネルギー革命を成長戦略の柱にします

 分散型エネルギー社会の推進、省エネ技術の世界展開、再生可能エネルギーへの投資拡大等により、地域を再生し、持続的な経済成長を実現します。

3.世界一の省エネルギー社会を実現します

 廃熱や再生可能熱の有効利用、建築物の断熱強化、省エネ機器導入への支援強化、公共施設の省エネ義務化等により世界一の省エネ社会を実現します。

4.再生可能エネルギーを大幅に増やします

 太陽光、風力、地熱、バイオマス、水力などバランスよく再生可能エネルギー導入を進め、2030年に電力の30%以上を再生可能エネルギーで賄います。

5.地球温暖化対策を推進します

 パリ協定を推進するため、省エネルギーのさらなる推進、再生可能エネルギーの大幅導入、発電所の効率化、自動車の燃費改善等により、2030年までに1990年比でCOの30%以上削減を目標とします。

6.天然ガスなど化石燃料の安定的な供給を確保します

 一次エネルギー供給の90%以上を占める化石燃料について、天然ガスを中心に安定的な供給を確保するとともに、熱利用を含めた一層の効率化を図ります。

7.2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入します

 東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、40年運転制限制を厳格に運用する、新増設は認めない、安全確認を得ていないものは再稼働しない、の原則を徹底させます。また、責任ある避難計画がなければ原発を再稼働すべきではありません。高レベル放射性廃棄物の最終処分については、現在の事業者のみが責任を負う形を改め、国が責任を持って取り組みます。

 その上で、国民生活・経済活動に与える影響、国際的なエネルギー情勢、原子力や原子力行政に対する国民の信頼の度合い、使用済核燃料の処理に関する自治体の理解と協力の状況、国際社会との関係などを十分に検討し、その結果を踏まえ、原発ゼロ目標を実現するための基本的施策を示す法整備に取り組みます。

災害からいのちとふるさとを守る

1.東日本大震災からの復興、被災地再生に取り組み続けます

 「復興創生期間」(5年間)においても、震災復興事業については地方負担を求めず、全額国庫負担を原則とします。ハード偏重からソフト・人づくり重視の支援策への転換を図りつつ、復興庁・復興特区・復興交付金、グループ補助金、企業立地補助金等を活かし、まちづくり、高台移転の促進、雇用・働く場の創出等に取り組みます。また、地域コミュニティ・住まいの再生、経済・雇用維持、祈念公園建設などを支援するため新基金を創設します。

2.福島の原子力災害からの復興・再生を推進します

 福島の復興なくして、日本の再生はありません。国の社会的責任を認め、福島の原子力災害からの復興及び再生を推進します。事故を起こした原発の安全確保に万全を期し、汚染水漏れなど廃炉の課題に主導的に取り組み、福島県内の原子力発電所10基の全炉廃炉を実現します。また、風評・風化対策への支援、除染の徹底、速やかな賠償などを通じ、生活再建・安定化を迅速に進めます。

 子ども・被災者支援法に基づき、健康調査の強化、18歳以下の医療費無料化、母子・父子避難者への支援、帰還支援などを進めます。

3.災害からの復旧・復興に取り組みます

 東日本大震災後、甚大な被害のあった熊本地震災害、九州北部豪雨、秋田県豪雨をはじめとする各地の災害からの復旧・復興に全力で取り組みます。支援金の額を

300万円から500万円に引き上げ、対象を大規模半壊から半壊への拡大等を含む被災者生活支援法改正案、災害弔慰金支給法案、東日本大震災復興特区法改正案、土地等処分円滑化法案の復興加速4法案を早期に制定します。また、被災地の高速道路について無料化を実施します。

4.地域防災力を強化します~「経験から学び、ノウハウを全国へ」

 災害時における万全な避難計画を定めるとともに、計画を住民に周知徹底するシステムをつくります。消防団、消防士、自主防災組織、市民消火隊、女性防災クラブ、災害ボランティアなどの活動を支援します。また、大規模災害が発生した際には、災害対応のノウハウを持つ府省庁の職員を速やかに派遣するなど、国が責任を持つ仕組みを整備します。

 さらに、社会資本の円滑な維持管理・更新を進めつつ、都市部を含め、国土の安全性・防災性と効率の向上を実現します。

行政改革の原点を守る

1.身を切る改革の実行

 国民との約束である議員定数の削減をさらに進めます。また、企業団体献金を禁止し、個人献金を促進する法律の制定を図ります。

 また、資金の流れを透明化するために文書通信交通滞在費の使途を公開する法律、国会議員関係政治団体の収支報告書を名寄せしてインターネットに一括掲載することを義務付ける法律の制定を図ります。

2.公務員の処遇を見直します

 天下り規制法案を成立させ、職員OBを介した再就職あっせん行為等の規制の新設と、離職後2年は離職前5年の間に在籍していた国の機関等と密接な関係にある営利企業等への再就職禁止を実現します。

 労働基本権を回復して労働条件を交渉で決める仕組みを構築します。職員団体等との協議と合意を前提としつつ、国家公務員総人件費の2割を目標に削減をめざします。

3.財政健全化を推進します

 事業仕分け・行政事業レビューにより税金の無駄遣いを解消するとともに、特別会計や基金、独立行政法人等政府機関、官民ファンド、政府開発援助(ODA)、「国土強靭化」予算などを精査し、税金の使いみちを厳格に見直します。財政健全化目標と実現までの戦略を定める財政健全化推進法をつくり、持続可能な財政構造を実現します。

4.国民の知る権利を保障します

 特定秘密保護法を見直すとともに、政府が不当に情報を隠すことができないよう国会等の監視機能を高めます。情報公開の範囲を広げ、開示請求手数料を原則廃止するために情報公開法を改正します。また、公益通報者を保護することを前提に、基準に該当しない秘密指定を知った公務員には告発を義務化するなど、行政における情報が適正に管理されるよう促し、国民の知る権利を守ります。

5.政府の隠ぺいを阻止し、行政を透明化します

 政府が意図的に情報を隠ぺいすることを阻止し、行政を透明化するため、国有財産の売却価格等の情報公開を徹底するための国有財産法改正案、行政文書の廃棄等を防止するための公文書管理法改正案を成立させます。

「森友・加計」疑惑を徹底追及し、真相を解明します

 国民の貴重な財産である国有地が、総理夫人が名誉校長を務めていた森友学園へ破格の安値で売却され、政府の国家戦略特区諮問会議は総理の「腹心の友」が理事長を務める加計学園に獣医学部の新設を認めました。「公平・公正・透明でなければならない行政がゆがめられたのではないか」、「総理のお友達ならば利権という甘い汁が吸えるのか」、国民は疑念を抱いています。

 国家戦略特区諮問会議による獣医学部新設の認定を白紙に戻すとともに、民進党は両疑惑を徹底追及し、真相を解明します。

国の礎を守る

1.未来志向の憲法を積極的に議論します

 現行憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という理念は、戦後71年間にわたり国民が大切に育んできたものであり、堅持します。それを前提として、立憲主義を守りながら「新しい人権」や「統治機構改革」など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに積極的に議論します。

2.民主主義と国民の自由を守ります

 [解散権]議院内閣制を採用する主要先進国の中で、内閣に無条件の議会解散権を認める国は少数です。総理大臣が恣意的に衆議院を解散することを防ぐため、内閣による解散権を制約する憲法上の規定について議論を進めます。

 [知る権利等]行政監視の手段である情報アクセス権を含む「知る権利」、プライバシー権や報道の自由など、広義の「表現の自由」の保障をより強化する方策を検討します。

 [地方自治]地域住民の意思に基づいて行う「住民自治」と地方自治が自治体の意思と責任で行われる「団体自治」が保障されるよう、分権社会の実現に向けて議論します。

 [緊急事態]行政による恣意的な憲法運用に歯止めをかけるとともに、緊急時においても人権と立憲主義が守られるよう議論を進めます。

3.専守防衛を旨とする平和主義を守ります

 海外の紛争に武力をもって介入しない、それが憲法9条の平和主義の根幹です。専守防衛を旨とする平和主義を断固として守ります。論理的整合性もなく恣意的・便宜的に憲法解釈を変えて強行採決された、憲法違反を含む安保法制を前提として、9条に自衛隊を明記することは認められません。まずは一昨年の安保法制の違憲部分を削り、「近くは現実的に、遠くは抑制的に」の原則に基づき、国の安全を確たるものにする議論を進めます。

4.安定的な皇位継承の確保策などについて議論を喚起します

 女性皇族がご結婚後も皇族の身分を保持し、当該女性皇族を当主とする宮家の創設が可能となるよう皇室典範を改正すべきです。退位特例法の附帯決議に「女性宮家の創設等」という文言が入ったことを重く受け止め、政府や国会における審議、国民的論議を喚起していきます。

 また、皇位継承資格について、女性や女系の皇族に拡大することについても国民的な議論を喚起していくべきと考えます。

国民を守る

1.北朝鮮の核・ミサイル放棄に向け外交力を発揮します

 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射は、我が国の平和と安全を著しく損なう、極めて深刻な脅威であり、断じて容認できません。北朝鮮を非核化に向けた対話のテーブルにつかせるため、国連安保理決議に基づく制裁の完全履行をめざし、国際社会と結束して北朝鮮への圧力を強めていきます。強固な日米同盟を軸に、韓国とも緊密に協議しつつ、北朝鮮に強い影響力を持つ中国やロシアにも強く働きかけます。問題の平和的解決に向け、あらゆる外交努力を続け、国民の命を守ります。同時に、有事の際の邦人の退避措置を含む国民の安全確保に万全を期し、必要な防衛体制を着実に整備します。

2.拉致問題に全力で取り組みます

 北朝鮮が拉致被害者の再調査を約束したストックホルム合意から3年が経過しましたが、全く進展はありません。ストックホルム合意を検証しつつ、国際社会とともに、主権と人権の重大な侵害である拉致問題の早期解決に全力で取り組みます。

3.現実的で抑制的な安全保障政策を進めます

 「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との基本理念に基づき、日米同盟の深化を図ります。海上保安庁と海上自衛隊の連携強化等を定めた領域警備法案、日本周辺での自衛隊の後方支援活動の拡充等を行う旧周辺事態法の改正案、PKO法の改正案、自衛隊員救急救命法案などにより、我が国の安全を実効的に確保します。

 南スーダンPKO日報問題にも見られた防衛省・自衛隊の根深い隠蔽体質を改めさせ、シビリアンコントロールを徹底させます。

4.主権を断固守ります

 我が国の主権に関する一貫した立場を積極的に対外発信します。我が国固有の領土である尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を図るため、海上保安庁等の対処能力の向上を引き続き図ります。政府は北方領土の共同経済活動を優先するあまり、主権をないがしろにし、ロシアの軍事力増強の撤回すら求めていません。北方領土については、これまでの日露間の諸合意及び法と正義の原則を基礎としてロシアと交渉します。竹島は、韓国に対して国際法に従った解決を粘り強く求めます。

5.沖縄の負担軽減を着実に進めます

 米軍再編に関する日米合意については、沖縄県民の思いに寄り添いつつ対話を重ねるとともに、日米地位協定の改定を提起し、関係住民の負担軽減に全力をあげます。

6.真に実効性のあるテロ対策を実施します

 「テロ等準備罪(共謀罪)」は、テロ対策への効果は薄く、一方で一般市民を監視し、冤罪を生む危険が濃厚です。共謀罪は廃止し、航空保安体制の強化、入国管理規制、テロ目的の資金移動や麻薬取引の監視などを強化します。途上国の貧困削減、平和構築、民主化支援などを進め、テロの温床を取り除きます。

7.「核兵器のない世界」の実現に取り組みます

 唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国が協力し、実質的な核軍縮の進展、核不拡散体制の強化ができるよう、国際社会での議論をリードしていきます。