衆院本会議で13日午後、無所属の会の金子恵美議員が「所得税法等の一部を改正する法律案」「国際観光旅客税法案」の趣旨説明に対する質疑に立ち、税制改正に関して安倍総理らの認識をただした。

 所得税法改正案は個人所得課税で給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の控除額を見直すほか、法人課税の租税特別措置等の見直し、たばこ税の引き上げなどをまとめたもの。国際観光旅客税法案は観光基盤の拡充・強化の財源確保のために国際観光旅客等の出国1回につき1000円の負担を求めるもの。

 金子議員は冒頭、「今回の政府・与党の税制改正案は、改革の方向性を示さず、小手先の改正、弥縫(びほう)策に終始しており、その責任を全く果たしていない」と指摘した。特に所得税については、「一部のサラリーマンにのみ負担増を求めるだけでなく、制度をいたずらに複雑化し、『公平・中立・簡素』という租税の大原則からかけ離れた姿にするものだ」と問題視した。「所得税以外についても、理念なく、取りやすいところから取ろうという発想の増税が目立つ」として、(1)国際観光旅客税(2)たばこ税(3)自動車関連税制(4)復興特別法人税――等の問題点を取り上げた。

 国際観光旅客税については、日本人出国者にも負担を求める点、出国1回につき1000円とした根拠、来年1月7日から適用という性急すぎる時期など、「さっぱり分からない」と断じた。

 たばこ税については、「税率を1本あたり3円引き上げるだけでなく、加熱式たばこを大幅に増税する」としている点を問題視。あくまで健康の観点等から検討を行うべきで、紙巻きたばこと副流煙を出さない加熱式たばことを一様に扱うべきではないと指摘した。

 自動車関連税制については消費税増税先送りを口実に、見直さないどころか、2017年度の税制改正では、エコカー減税、グリーン税制が縮小されることを問題視。「自動車産業はわが国産業の基盤であり、自動車は地方では生活の足となっている。その観点を踏まえれば、自動車関連諸税を増税するのは誤りで、むしろ負担軽減を行うべき」と問題提起した。 

 来月3月11日で東日本大震災・原発事故が発災してから7年が経過するにもかかわらず被災地の復興・再生はまだ道半ばだと述べ、安倍総理が消費税8%引き上げに際し、復興特別法人税の前倒し廃止を行ったが、復興費用は当初の10年間23兆円から32兆円にまで膨らんでいるのが実情で、その中で被災地の住民にも負担がある復興特別所得税は続いていると指摘。黒字法人の税負担だけを軽減したことに疑問を呈した。

PDF「衆院本会議 金子恵美議員 「所得税等の一部を改正する法律案」「国際観光旅客税法案」質問原稿(予定稿)」衆院本会議 金子恵美議員 「所得税等の一部を改正する法律案」「国際観光旅客税法案」質問原稿(予定稿)