民進党をはじめ野党6党は19日午前11時から、第5回目となる「働き方改革虚偽データ疑惑」合同ヒアリングを国会内で開き、同日9時から開いた第4回ヒアリングで厚生労働省に回答を求めた点に関する確認作業を行った。

 第4回ヒアリングで出てきた問題点を踏まえ、調査が不適切であったことを厚労省が把握したのは2月1日だったとする実態把握等に基づき、(1)安倍総理にはいつ、どんな形で誰が伝えたか(2)厚労省から開示された調査票だけでなく、どういう聞き取りをしたかの詳細質問項目(3)(調査の回答に誤記があったとの説明もあったことから)開示された打ち込みデータだけではなく、打ち込みの元となった全原票の開示(4)閣議決定では実労働時間を聞くよう求めているのに実労働時間調査を行わない理由(5)厚労省から本日付で示された文書の1・2枚目には今回の虚偽データ疑惑の結論が示されていないことから、不適切だとするのはなぜ不適切なのか、こうした対応をしてしまった動機等の文書での提出――等の5項目に関する回答を求めたが、厚生労働省担当者から答えは示されなかった。

 ヒアリングに参加した法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授からは第4回のヒアリングから明らかになったこととして、次のような指摘があった。

  1.  労政審には一般労働者の1日データや比較データは示されていない。しかし、厚生労働省担当者は、第104回労政審労働条件分科会(2013.09.27)で、1週は「1週の時間外労働の最長時間数であるのに対し、月間と年間は「月間の時間外労働時間数」「年間の時間外労働時間数」であり「最長」ではないという違い(本日19日の厚労省提出資料(別紙1)で初めて判明した事実)を説明していない。報告書にもその違いは明記されていない。
  2.  1週、1カ月、1年のデータは(聞き方の説明がちがうことの説明も記載もないまま)労政審に示された。そして第103回労働条件分科会(2018.09.27)では、この調査が閣議決定に記載のある実態把握調査として位置づけられていることを説明していた。
  3. そしてこの第103回の資料2の4ページ(本日の当方の資料・下記「働き方改革虚偽データ疑惑」野党合同ヒアリング  要・確認事項」のP3の上部にあるもの)に示されているように、本来は「実労働時間」もこの調査で行うという位置付けられていることを第103回労政審で示し、議事録でも主な調査項目として「実労働時間」が含まれていることを説明していたが、既にこの第103回分科会時点(2013.09.27)では25年実態調査は終了しており、そこで実労働時間を開いていないことは厚生労働省担当者はわかっていたはず。

 同ヒアリングには全国過労死を考える家族の会のメンバーも参加し、当事者の視点から裁量労働制の問題点を指摘するとともに、法案の根拠であったデータが間違っていたからには調査そのものをやり直すことが重要と指摘し、法案審議を急ぐべきではないとして安倍内閣の対応を批判した。

 なお、同日昼の衆院予算委員会で下記のように黒塗りの資料「衆院予算委員会(昼)理事会提出資料」が示されたことから、同日夕方からあらためてヒアリングを行うことになった。

PDF「衆院予算委員会(昼)理事会提出資料」衆院予算委員会(昼)理事会提出資料

PDF「「働き方改革虚偽データ疑惑」野党合同ヒアリング 要・確認事項」「働き方改革虚偽データ疑惑」野党合同ヒアリング 要・確認事項