民進党は1日午前、現執行部のもとでは初めてとなる憲法調査会総会を国会内で開き、役員構成を決定したうえでヒアリングと意見交換を行った。

 中川正春会長はあいさつの中で、「民主党から民進党と積み重ねてきた憲法議論がある。特に2005年に出した『憲法提言』がベースとなって、さまざま議論を積み重ねてきた。私たちはさらに深掘りをして、広く大きく論憲を基本にこの調査会を進めていきたいと思う」と、今後の方向性について提案した。

 現在の憲法議論を取り巻く環境については、「安倍総理自身、憲法に対して非常に前のめりになっている。憲法草案というものが自民党から出され、各党に対しそれへの対案を出して来いという形で衆参の憲法審査会の運営をしていくことになると、この国の中に対立の構造を作っていくことになると思う。このような憲法審査会の議論の在り方は非常に危険なことであり、この国が憲法によって分断されていくことが許せない」と、安倍・自民党が進める改憲手法に憤りを隠さなかった。

 中川会長は、「憲法審査会というものは、合意を求め、国民に問いかけていくもの。中山調査会の頃から伝統的に、憲法審査会というものは、党利党略ではなく合意を求めていくという真摯(しんし)な流れで来たが、安倍総理の前のめりの姿勢によって変質してきた。そういう形をしっかりと砕き、私たちの、本来の憲法議論に戻していくことがわれわれの務めだと思っている」と話し、活発な議論を促した。

 衆院法制局・憲法審査会事務局から、憲法改正に向けた国民投票の実施手順や国民投票運動の原則など憲法改正手続きの概要、最近の各党の憲法改正に関する議論の状況についてヒアリングを行った後に、意見交換を行った。

 終了後記者団の取材に応じた中川会長は、「今日は憲法調査会の立ち上げということで、基本的なおさらいをしようと衆院法制局等から話を聞いた。今後の進め方としては、これまで積み重ねてきた議論がある。それをもう一度皆で周知したうえで確認をしていくことになる。各論の議論はこれから」と述べた。

 改憲条文案などを作成している党もある中での民進党としての取り組み方向を問われ、「冒頭申し上げた通り、論憲ということで具体的に議論を深め、必要があればまとめる。発議権で議論したかったが。憲法改正発議には議員発議と憲法審査会による発議と二つある。私の気持ちとしては、これまでの中山審査会の趣旨からいくと、憲法審査会で合意を得て発議するものにしたい。ただ3分の2の多数があるからと押し切っていくべきではない。そういう点を意識しながら憲法審査会での議論と連動させて、考え方をまとめていきたい」と述べた。

 今後の調査会の進め方については、「役員会を開き、各人の現状認識や思いを聞いたうえで戦略をつくっていきたい」と述べた。

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