民進党と希望の党は「働き方改革検討のための合同会議」(石橋通宏参院議員=民進と岡本充功衆院議員=希望が共同座長)を15日夕、国会内で開き、この間協議を重ねてきて取りまとめた「働き方改革対案パッケージ」要綱(案)(以下、働き方改革対案パッケージ)について最終確認作業を行い、案として了承した。

 会議後の記者会見で石橋座長は、「安倍政権が進める『働き方改革』が、本当に働く者のための『働き方改革』なのであれば歓迎する、しかしそれがもし、一部の経営者のための『働かせ方改革』なのであれば、断固、反対する」という立場に立って働き方改革対案パッケージを取りまとめた旨を表明した。働き方改革対案パッケージでは政府案の不足部分をカバーするとともに、問題点を是正する内容になっている。

 今後について石橋議員は「具体的な条文化の作業の準備をしていく」と述べた。「同時に、他党、とりわけ立憲民主党との共同提出をもともと目指していたので、これを引き続き求めていく」と述べた。

 足立信也政務調査会長は、「幹事長レベルで、働き方改革については3党で合同会議を開けないかいう申し入れを最初にしたが成就せず、2党で合同会議を開いて要綱のレベルまでは到達した。これをもって、立憲から呼びかけがあって、来週3党の政調会長が会って議論することになっている。そこからどういう提案、議論が進むかは(ここまで)3カ月ぐらいかかったが、来週がスタートになる」「要綱のレベルまでまとまった、これをもとに法案作成をして、一緒に提出ができないかという持ちかけを(立憲に)する。それに対して、長妻さんの方から考え方の提示があると思う。議論をして持ち帰るものがあれば持ち返って議論する」と語った。

 他の野党への呼びかけはあるかとの記者の問いに石橋議員は「まず立憲民主党とのすり合わせ・協議をやっていきたいと思う」などと述べた。

 要綱案のポイントは次の通り。

1.「裁量労働制の適用拡大」を防ぐため規制を強化

 裁量労働制に関わる調査データに異常値が見つかった虚偽データ疑惑が発覚したことを受け、安倍総理は、裁量労働制の適用拡大を全面削除する方針を示し、政府案では全面削除となる見通しだが、現行の裁量労働制ですでに過労死が発生しており、規制の強化が必要。そうした観点から、現行の裁量労働制の適正化策を働き方改革対案パッケージに盛り込む。具体的には時間管理の徹底や本人同意手続の強化など。

2.「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」を削除

 高度プロフェッショナル制度が実施されると、労働時間の規制だけでなく、休憩時間や休日の規制、割増賃金の規制も全て適用除外になってしまう。政府は「対象業務の限定」「年収要件(おおむね1075万円以上)」があるので大丈夫だと説明するが、いったん導入されれば、要件が緩和され対象が広げられる可能性がある。過労死促進、定額働かせ放題につながる制度であることから、働き方改革対案パッケージでは高度プロフェッショナル制度を削除。

3.残業時間の上限規制の導入とその実効性の担保

 政府案では残業時間の上限を原則月45時間以内、年360時間以内と定めた罰則付きの残業時間の上限規制を導入する見通しだが、繁忙期の問題がある業界などでは労使が合意すれば年720時間までとする特例水準も認められる方向。この点について、課題認識を持ちつつ、歴史上初めて労働時間に絶対上限が設けられる第一歩として尊重。ただし、この上限規制を実効性あるものにするためには規制強化が必要との観点から(1)1日単位の「休息時間規制(勤務間インターバル規制)」の導入(2)労働時間管理の徹底の使用者への義務づけ(3)企業が労働時間規制に違反した場合の「罰則を強化」――等を働き方改革対案パッケージには盛り込んだ。

 この他、政府案に含まれていない「パワーハラスメントの防止」や「ワークルール教育の推進」などを盛り込んでいる。

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