民進党など野党6党は20日、「教育現場不当介入問題野党合同ヒアリング」を国会内で開き、前川喜平前文部科学省事務次官が名古屋市立中学校で2月16日に行った公開授業について、同省が名古屋市教育委員会(以下、市教委)に対して授業内容等の報告や録音データの提供を繰り返し求めた件に関して、同省の担当者から話を聞いた。

 ヒアリングでは同日付で毎日新聞が報じた、この問題に関して「文科省に照会したのは自民党文科部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)で、市教委への質問項目も添削していたことが明らかになった」「文科部会長を務める赤池誠昭参院議員(比例代表)が文科省に照会していたことも判明した」といった点等を踏まえて確認を求めた。林文部科学大臣も同日の記者会見でこの点に言及した(PDFダウンロード「林文部科学大臣閣議後記者会見の抜粋」参照)。

 19日のアリングで同省の担当者は「前川氏の授業があったことを把握したのは授業の翌日の17日で、外部からの照会があったのがきっかけ」との旨を説明したが、照会者については「答えは差し控えたい」とコメントしていた。また、市教委に問い合わせると決めたのは省の判断だと述べ、その判断に照会者からの影響はなかった旨を説明していた。

 ヒアリングでは市教委への質問項目について池田議員に事前に提示し、2カ所の指摘を受け3カ所修正を加えたことを同省の担当者は明らかにした。しかし、池田議員からの指摘箇所数と修正箇所数が分かっているにもかかわらず、修正内容については「確認中」として明言を避けた。

 また、「池田議員の指摘を受けて質問内容を修正した」のであれば、「政治家からの影響を受けた」と言えるもので、「市教委への問い合わせは文科省独自の判断で行った」「政治家の影響は受けていない」としてきたこれまでの同省の説明と大いに矛盾すると指摘する声が出席議員の間から相次いだ。しかし、同省の担当者は「池田議員の指摘を受けて行った修正」は「池田議員からのコメントを参考にして私どもの判断で直した」と回答し、あくまでも「文科省の判断」だとの姿勢を示した。

 次回のヒアリングでは、(1)文科省が市教委などに行う問い合わせ等について政治家に事前開示した前例(2)今回の市教委への調査に関して文科省は法的根拠として「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を挙げているが、それを法的根拠として調査を行った前例(3)池田議員の指摘を参考にして修正した内容――等を報告するよう求め、同省の担当者が持ち帰った。

 ヒアリング終了後、文科省は質問内容の修正点を公表した。池田議員の意見を踏まえて前川前事務次官に対する謝礼の「金額はいくらか」、参加者の「動員等が行われた事実があったか」等の文言を加え、また、天下り問題に関する表現を加えたことを明らかにした。

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PDF「林文部科学大臣3月20日閣議後記者会見の抜粋」林文部科学大臣3月20日閣議後記者会見の抜粋