増子輝彦幹事長は26日午後、定例記者会見を党本部で開き、(1)同日行った参院予算集中審議での安倍総理との質疑内容(2)大阪拘置所での籠池前理事長との接見――等について語るとともに記者の質問に答えた。

 同日質問に立った参院予算委員会の集中審議については、(1)森友問題をめぐる安倍総理の率直な気持ちを聞くこと(2)どのような形で関わっているかも含めて安倍昭恵夫人に説明責任を果たすことを求めること、(3)真相究明に向け第三者機関の国会への設置を求めること――等について安倍総理に質問した旨を語った。

 安倍総理の答弁姿勢については「森友学園疑惑について真相究明を行わなければいけないと言いながら、この問題の発端となった昭恵夫人の言動については、自分が答弁する、昭恵夫人が公の場で発言する必要はないと強く繰り返していた」点を問題視し、「夫婦間でいろいろ話をして、間接的に伝えられても真実は明らかにならない。悪く言えばブラックボックスのような印象」だと指摘。証人喚問以外にも公の場で何らかの記者会見をするなどの機会を持ってはどうかとの提言もまじえた質問を重ねたことに触れ、「この問題は昭恵夫人が関わっているということ、改ざんされた文書にもそのことが明らかに何カ所も出ていて削除されているわけだから、指示をしたとか、土地取引に直接関わったということではない形も含め、何らかの関わりがある。これを(昭恵夫人が)自らしっかりと説明責任を果せば、この問題は一気に解決の方向に進むかもしれないという思いを持ちながら私なりの助け舟を出す気持ちで質問したが、残念ながらいい答弁は得られなかった。引き続き安倍昭恵夫人の説明責任を求めていく。(質疑では)、証人喚問の要求もしたところだ」と語った。

 第三者による調査機関の設置については安倍総理からは比較的前向きな答弁が得られたことから、「これは一歩二歩前に進んでいく可能性があるという印象を受けたので積極的にやっていきたい」と語った。

 同日、民進、自由、社民の野党3党の参院議員が大阪拘置所で勾留中の森友学園前理事長の籠池泰典被告と接見したことにも言及した。民進党からは矢田わか子議員が接見した。当初は15分の予定だったが、48分にわたって行われた。接見でのやり取りについて、矢田議員から報告を受けた内容として増子幹事長は次のように話した。

 籠池前理事長は約8カ月にわたる勾留について「国策留置のようなものだ」と語り、健康上厳しい状況にあり痛風でときどき車いすも利用し、しもやけがひどく、太陽に当たる時間が極めて少ないので健康上極めて良くないと訴えた。

 建設予定地の問題に関して改ざん前の文書にあった昭恵氏の「いい土地ですから、前に進めてください」との発言については、「間違いない」と強調。安倍昭恵さんとの関係についてはPTAの重鎮に紹介してもらい、講演の依頼等を直接昭恵さんと電話でやり取りしたこと、初めて会ったのは政府主催のホテルオークラでのパーティで総理退任直後だったため安倍総理はいなかったという。名誉校長に就任以降は半分以上は留守電ではあったが月1回電話で学校の進捗状況や募集状況等を定期報告し、総理夫人付きの谷査恵子氏にスケジュール調整はしっかりやってもらったと話した。近畿財務局との関係は売却担当の次長と会ったことを話した。

 2015年9月に昭恵夫人を通じて100万円の寄付を受けたと籠池前理事長が主張していることを安倍総理が否定していることを尋ねると、「なぜそうなってしまうのかなあ」などと納得できない表情で、安倍総理についてどういう気持ちかという質問には、「私は教育者なので悪いことは悪いと認めて嘘をつかない姿勢で今日まで来た。安倍総理はどうしてあのような状況なのだろうか」と話したという。

 増子幹事長はと、昭恵夫人が「国会で説明すべき」との声が65%に達している世論調査結果も紹介し、「今後ますます昭恵夫人の説明責任が求められてくる。これは国民の共通しての思い、説明する責任が昭恵夫人にはある」と語気を強めた。

 平昌冬期五輪のスピードスケート女子で金、銀、銅のメダル3つを獲得した高木美帆選手が自民党大会にゲストとして招かれたことについては、「個人的な見解」として「特定の政党のためにオリンピック選手として活躍してきたのではなく、国民全体のある意味での宝なので、特定の政党の党大会にゲストとして呼ばれるのは納得がいかないと強く感じた。国民のヒロインであり宝なので一つの政党に利用されるのはいかがか」と自民党を厳しく批判した。