14日午後に開かれた衆院本会議で2015年度補正予算の採決が行われ、与党の賛成多数で可決した。採決に先立つ討論で民主・維新・無所属クラブを代表して登壇した宮崎岳志議員は、3.3兆円もの補正予算について「史上最悪の選挙目当てのバラマキ予算」だと断じ、4つの重大な問題点を指摘し反対の立場から討論を行った。

 宮崎議員は冒頭、14日午前の東証株価の終値が1万7068円と今年に入ってから2千円近く暴落したことを受け、半月で国民の年金資産が6兆円も失われた恐れがあると指摘。「安倍政権が野党の反対を押し切って年金積立金の株式運用を拡大したため、国内外の株式下落によるものであり、アベノミクスに対する国民の不安が渦巻いている」と強く批判した。

 本題である補正予算の目玉について、政府が「1億総活躍関連」と強調していることに対して、「実態は多くの恩恵が高額所得者と高齢者に回り、低所得者や若者は蚊帳の外におかれた金持ち優遇、若者軽視のバラマキ予算」だと指摘。さらに1億総活躍予算に計上された事業の8割が既存事業の焼き直しで新しい中身がほとんどなく、「1億総活躍」はバラマキのための口実にすぎず、「史上最低の野放図なバラマキ予算だ」と問題の本質を突いた。

「4つの重大なバラマキ問題」と補正予算を批判する宮崎議員

「4つの重大なバラマキ問題」と補正予算を批判する宮崎議員

 宮崎議員は4つの重大なバラマキ問題の第1として、参院選直前の5月、6月に低年金の高齢者1100万人に1回限りで3万円ずつを配る一方、子育て給付金の廃止を決定した問題を指摘。このように「投票率の高い高齢者に現金をバラマキ、投票権のない子供たちのための給付金はカットとは、まるで合法的買収ではないか」と党利党略の政治姿勢を強く指弾した。

 第2のバラマキとして、まだ発効するかどうか不透明なTPPの対策費を計上している問題を指摘。TPPを主導している米国の次期大統領予備選で、民主党・共和党の最有力候補がTPPを支持していない事実を挙げて「米国が批准せずTPPが発効しなかったら、使ってしまった対策費はどうなるのか」と選挙向けの前代未聞のバラマキであることを痛烈に批判した。さらに、今回の補正だけでも農林水産分野に3100億円余りの対策費を計上した問題も指摘し、「生産減少額を超える対策費などというバカバカしいバラマキなどあり得ない」と断じた。

 第3のバラマキとして、介護などの分野で、5年以上先を目標とする施設整備のため、基金に巨額の積み増しを行った点を問題視。「緊急性もない5年以上先の施設整備予算を補正予算に計上し、具体的ニーズも把握しないまま全国にバラマキ。一方で、介護報酬を引き下げて職員の賃金を低迷させ、最大の問題である人手不足を加速させている。本末転倒、支離滅裂だ」と批判し、本補正予算を強行する安倍総理に対し「あなたはバラマキの王様、バラマキング」ではないかと指摘した。

 第4のバラマキとして、消費税の軽減税率をめぐるバラマキ問題を指摘した。宮崎議員は、食料品などの税率を8パーセントに据え置くために1兆円もかかるにもかかわらず、このうち年収300万円以下の人たちに回るのはわずか11%。それを上回る14%が年収1500万円以上のお金持ちのために使われ、6割以上が年収500万円以上の人たちに回るのとの試算を示し、「総理、これは『低所得者対策に名を借りた金持ち優遇』の税金バラマキではないか」とただした。さらに、軽減税率の費用1兆円のうち4千億円は低所得者の医療・介護・保育のための社会保障費をバッサリ切って捻出され、残り6千億円の財源はめどすらないというありさまに対し「日本一の無責任首相」だと安倍総理を批判した。

 最後に宮崎議員は、「安倍政権がいくら選挙目当てのバラマキを繰り返しても私たちは屈しない。参院選挙での勝利を通じ、安倍政権の野放図なバラマキに歯止めをかけるとともに、政権交代可能な政治体制の確立に全力を尽くすことをお約束する」と宣言し、反対討論を締めくくった。

PDF「衆院本会議補正予算反対討論」衆院本会議補正予算反対討論