参院本会議で28日、政府4演説への2日目の代表質問が行われ、民主党会派の2番手として小川勝也議員が登壇した。

 小川議員は(1)甘利大臣の進退(2)衆院の選挙制度改革と定数是正(3)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用(4)原油価格と世界経済に対する政府の見通し(5)人口減少社会への方針(6)JR北海道への支援の再検討(7)採算の厳しい地方バス路線の維持、公共交通機関のあり方(8)都市と農村の共存を図るための農業政策の抜本的な見直し(9)首都圏の介護人材不足の深刻化と介護人材25万人の確保の実効性(10)人手不足解消と外国人労働者の受け入れと移民政策(11)教育の充実・格差解消に重点を置く予算案への組み替え(12)TPPについて農産物重要5品目の国内生産への影響と維持(13)雇用の充実、設備投資、黒字企業に国内投資を促す施策(14)格差を是正してこそ良い政権との認識――等について安倍総理らにただした。

■甘利大臣の進退

 小川議員は政府4演説に対する質問に先立ち、甘利経済再生担当大臣が建設会社から金銭を受け取り口利きを行ったとの疑惑について同日記者会見を行って説明するとしていることについて、「金銭の受け取りを否定できないまま潔白を主張する、この時点で政治の信頼を大きく傷つけている」と述べ、進退は早めに潔く決断すべきだと求めた。これに対し甘利大臣は、「必要な調査を行い、事実を確認のうえ、私自身が説明責任を果たす。そのうえで職務を全うする」などと答弁した。

■衆院の選挙制度改革と定数是正

 安倍総理が2012年の党首討論での約束をほごにして実施した同年12月の衆院総選挙について、最高裁が昨年11月25日、これを「違憲状態」とする判決を下した点に言及。今月14日に有識者らで構成する諮問機関が、衆院定数の10減をはじめとする答申を衆院議長に提出したことに関して、「民主党は定数削減などについては不十分としつつも、答申案にしたがって議論を進めていくしかないと考えている。自民党は逃げ回っているようだ」と述べ、衆院の定数是正と定数削減に関する安倍総理の総理の認識をただした。

 安倍総理は「わが党はもとより各党各会派が答申を尊重し、選挙制度改革の実現に向けて真摯(しんし)に議論を行い早期に結論を得ることによって国会の付託に応えるべきものと考えている」などと述べるにとどまり、自民党総裁としてリーダーシップを発揮する意向は終始示さなかった。

小川議員

■GPIFの株式運用

 「アベノミクスは株価頼みで、あらゆる資源を投入して株価を支え、つり上げている」「しかし、この間の株価下落の中、GPIFによる年金積立金の運用に国民の不安があることは安倍総理も当然知っているはずだ」として、株式運用の現時点での中間成績の提示を求めた。

 安倍総理は、「年金積立金の運用は長期的に年金財政に必要な積立金の確保を目的としており、短期的な収益の確保を目指しているものではない。従って短期的な株価の動きなどに過度にとらわれることなく、長期的な観点から評価すべきだ」などと強弁した。

■都市と農村の共存を図るために農業政策

 「ヨーロッパ諸国では国土保全、環境面などの評価を含めての直接支払いを取り入れ持続可能な農村社会の維持を図っている国が多数ある。民主党政権はそれに習い農業者戸別所得補償制度を取り入れた。しかし、安倍政権では、その制度を廃止し、TPPを意識してか、農協を悪者にしたて、企業参入を促す、小規模・家族経営をないがしろにする政策に転換をした。このままでは農村地域の維持が困難になるのは明らか」などだとして、都市と農村の共存を図るために農業政策の抜本的な見直しが必要だと指摘した。

■TPPについて

 「TPPについてまだ内容が精査されていないが、多くの不安と動揺が農業関係者にもたらされた」と指摘し、全国各地に貼りめぐらされた「うそつかない TPP断固反対 ブレない」と書かれた自民党のポスターによって政治不信や諦めも広がってると懸念を示したうえで、食料安全保障に直結する重要5項目は本当に影響が最小限で国内生産が守られるのかを確認した。

 安倍総理は「関税削減等の影響で価格低下により生産額の減少は見込まれるものの、生産コストの低減や品質の向上、経営安定対策などにより引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでいる」などと述べるにとどまった。

■人への投資

 「経済を大きくするには人への投資が重要。教育に投資をして生産性と労働の付加価値を高めていかなければならない。企業のもつ内部留保を、雇用の充実、設備投資、そして教育訓練など国内投資を促す施策が必要」だと問題提起。「世界の潮流に流されているだけでは貧富の差は拡大し、地域間の格差も拡大し、格差の固定化が進む。それを是正する権力を有するのは政府だ。再配分機能と国内経済バランスに配慮し、さらに経済の拡大、人材への投資ができてはじめて良い政権となる。格差拡大に無関心、子どもの貧困に対策もしない。地方をますます衰退させる安倍政権には国を任せられない」と述べた。