衆院予算委員会で15日、経済・地方創生等に関する集中審議が開かれ、民主党の3番手として質問に立った緒方林太郎議員は、(1)育児休暇サギ問題(2)最近の日本経済――等について政府の見解をただした。

 育児休暇取得を宣言しながら女性タレントとの不倫疑惑を週刊文春で報じられ議員辞職を表明した自民党の宮崎健介衆院議員の問題について、「『育児休暇サギ』ともいうべき事件だ。これを契機に、世の中で男性が育児休暇を申請した際に周りにからかわれたりして取得することがはばかられるような雰囲気が出てくることを懸念する」と指摘。安倍総理は、「党の総裁として申し訳ない思い」としたうえで、「男性も、女性と両親で子どもを産み育てていくという認識を持つ国に変えていかなければならない。この大きな流れがいささかも変わるものがないと信じたい」と甘い認識を示した。

 宮崎議員以外にも、未公開株をめぐる金銭トラブルが報じられた武藤貴也議員、政務官時代に同僚議員とのスキャンダルが報じられた中川郁子議員と、自民党が政権に復帰した2012年の衆院選挙で初当選した議員の不祥事が相次いでいることから、一部で「2012年問題」と言われていることにも言及。公認した者としての責任をただすと、安倍総理は、「党の公認には最終的に私が責任を持っている。その意味で私に責任がある」と認めた。

緒方議員 資料1

緒方議員 資料1


 日経平均株価の下落や円高といった最近の経済状況をめぐっては、2015年7月の安倍政権のピーク時の株価を100とした場合、2月12日の時点では72.6まで低下、大恐慌時やリーマンショック時の株価と同様の下がり方をしているとして、このことへの見解を求めた。安倍総理は「世界的にリスク回避の動きが金融市場で広がるなか、わが国の市場でも広がりが見られている。中国の景気減速への懸念や原油価格の低下、米国の利上げの動向等の海外要因が背景と見られる」などと述べ、安倍政権に都合のいい数字だけを並べ「ファクトを見ていただきたい。日々の株価の動向には一喜一憂すべきではない」などと強弁。緒方議員は「外的要因を強調するが、それに対応する力強い足腰のある日本経済を作るのがアベノミクスの3本の矢だったのではないか。日本経済が下向きのドライブがかかっていることを素直に認めたうえで処方箋を練ることが大事ではないか」と指摘した。

緒方林太郎議員 資料2

緒方林太郎議員 資料2


緒方林太郎議員 資料3

緒方林太郎議員 資料3


 安倍総理がこれまでアベノミクスの効果として「マインドが改善した」「資産効果が出ている」と繰り返し述べてきたことから、「現在は、下落の局面に入り逆資産効果が生じる。それにより消費、投資に対してネガティブな影響が働く」と、これを認めるよう迫ったが、安倍総理は答弁を避けた。

 公的年金の積立運用で7月9月までの期間で7兆9千億円近くの損失が出ていることを踏まえ、「2015年7月の株価を100とした場合、9月が84.5であり、(72.6の)2月12日の時点では10兆円以上の年金資産の棄損がでているのは確実」だとして、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による運用比率の引き上げをあらためて問題視。また、金利低下によって国債の利払いは減る一方で財政規律の緩みが生じることに懸念を表明した。

最近の経済状況をめぐって安倍総理を追及する緒方議員

最近の経済状況をめぐって安倍総理を追及する緒方議員

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