衆院予算委員会は15日、「経済・地方創生等」に関する集中審議を開き、古川元久議員は、(1)消費税の逆進性対策(2)社会保障と税の一体改革に関する3党合意――等について、安倍総理以下関係閣僚に質問した。

 「税は、公平、中立、簡素でなくてはならない」と、税の3原則について言及した古川議員は、「民主党は、消費税の逆進性対策としては単一税率を維持し、低所得者対策には消費税額の還付、いわゆる給付付き税額控除を導入すべきと考えている。政府・与党は軽減税率でやろうとしているが、この軽減税率は、税の3原則いずれにも反するものだ」と批判した。

 古川議員は、「仮に軽減税率を導入して税制が複雑になれば、納税義務者である事業者に与える影響は極めて大きい。経済にも大きなマイナスになる」と指摘。「軽減税率は世界の潮流だ」という政府・与党の説明に対しては、「欧州の多くの税務当局は『失敗だ』として、止められるものなら止めたいと思っている。欧州各国が導入しているから世界の潮流だということとは違う。現場の混乱などを考えれば、天下の愚策であると言わざるを得ない」と軽減税率導入に強く反対した。

 「給食は8%だが学食は10%」「店外食で会計した客が店内で食べはじめた場合に、はじめから店内食で会計した客と差が出る」「出前は8%なので、燃料費や人件費がかさむ」「マイナンバー対応に加え、インボイス対応にもコストがかかる」「8%と10%が混在する商品への対応は、個々の事業者が現場で負担」など、古川議員は考えられる事例を上げて問題点を指摘したが、麻生財務大臣は、「個々の事業者で対応に差がある。ここで細かいことを言うのは無理。混乱の程度は分からないが、ある程度は起こるので、時間をかけて対応していく」などとなげやりに答弁。

古川議員の予算委での質問

 古川議員は、「説明を聞けば聞くほど混乱する話で、中小の事業者ほどその混乱やコストの負担が重くのしかかる。無理に軽減税率を強行するのではなく、当面は簡素な給付措置を続け、その後、給付付き税額控除と軽減税率を比較検討すればいいではないか」と提案した。

 社会保障と税の一体改革に関する3党合意について、古川議員は、「生きていると考えているのか。どういう認識を持っているのか」と安倍総理に質問。安倍総理は、持って回った言い回しの後に「生きていると考えている」と答弁した。古川議員は、「3党合意は、その後の3党協議も含めての話だが、こちらから3党協議を求め、そちらもやると返事をしてきたにもかかわらず、今だに何の音沙汰もなく、軽減税率導入を自公だけで決めてしまった。これで3党合意が生きているというのか」と批判し、「消費税の逆進性を緩和し、低所得者対策になり、税制の原則にも反しないあり方について、真摯(しんし)に協議しようではないか」と安倍総理に迫ったが、「閣議決定した。こうして質問の時間も提供しているので、その中で議論すればよい」などと述べ、3党協議を行うとは答えなかった。

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