18日の衆院予算委員会の一般質疑で質問に立った小山展弘議員は、(1)消費税の軽減税率(2)企業の農地所有解禁などがもたらす混乱や問題について質問した。

 小山議員はまず、軽減税率について「そもそも軽減ではなく、税率の据え置きである」と政府の不適切な表現を問題視した。その軽減税率について麻生財務大臣が昨年10月14日に「財務省は本当は反対だ。みんな面倒くさいと言っている。社会保障に回るお金がそれだけ減る」と発言したことを取り上げ、「今でも軽減税率の導入について面倒くさいと思っているのか」とただしたところ、麻生大臣は「軽減税率の導入で混乱が避けて通れない」と問題があることを認めた。

 軽減税率導入でさまざまな混乱が想定される中で小山議員は、新聞に関する税率問題を取り上げた。「配達されてくる新聞は軽減税率適用で8%、駅やコンビニで買う新聞は10%の標準税率になる。その新聞の税率の根拠は何か」と追及した。麻生大臣は、「定期購読の新聞は軽減税率の適用対象だが、駅などで見出しが安倍批判でおもしろいからといって購入する新聞は定期購読ではないので適用対象でない」と答弁をした。それに対し小山議員は、「同じ新聞でも定期購読で来る情報に価値があって、駅頭で買う場合は税率が高くなるというのは納得感が少ない」と軽減税率のあり方を批判した。

 また、「広場などの無料で食べるスペースのある朝市で、軽トラックが食べ物を販売した場合には軽減税率が適用されるのか」と質問した。麻生大臣は「お祭りで焼きそばなどを販売する出店は飲食設備がないので軽減税率適用の8%。飲食設備が設置されているオープンスペースで、(軽トラックが)飲食させるサービスは10%となる」と答弁した。小山議員は「軽トラックのおっちゃんやおばちゃんに(8%か10%)どっちなのかなと迷わせるような軽減税率にはマイナス側面が大きい」と軽減税率の見直しを求めた。

 さらに、民主党の古川元久議員の質問に対する麻生大臣の答弁で、軽減税率の導入で混乱が起こり、中小零細企業のつぶれるケースは1つや2つ、100や1000は起きる旨発言したことに対して、小山議員は「言い過ぎではないか」と中小企業の痛みを共有しない姿勢をただした。麻生大臣は「誤解を招いたのなら訂正する」と発言したため、「議事録のどこをどう訂正するのか」と畳み掛けたところ、麻生大臣は「どういう文章にするか時間をいただいて返答する」と述べ、自身の発言の不適切さを認めた。

 政府の国家戦略特区諮問会議が検討している特区での企業の農地所有を可能にする農業生産法人の出資・事業要件の緩和がもたらす問題についても追及した。企業の農地所有に対して農業にかかわる現場から耕作放棄とか産廃の懸念や原状回復手法の未確立問題の声があると指摘し、「農業法人の出資・事業要件の緩和は、農家の所得は上がらず、農家のための政策ではないのではないか」と森山農水大臣の認識をただした。森山大臣も企業の農業からの撤退、農地の産廃置き場化、原状復帰の不確実性について懸念があると認めた。

 また、国家戦略特区諮問会議の中で竹中平蔵氏が「農業生産法人の問題こそが岩盤中の岩盤『ザ・岩盤』だ。この『ザ・岩盤』の背後には『ザ・抵抗勢力』と『ザ・既得権益者』がいて、これをどう突破できるかが本当にいろいろな意味での象徴になる」と発言したことに対して小山議員は、「日本の食糧安全保障を担い国土を保全し真面目に農業に従事し、その観点から懸念を示しているのを小馬鹿にした『古色蒼然』たる発言」だと厳しく批判。そして竹中氏が社外取締役を務めているオリックスが兵庫県養父市で農業に参入している事実を指摘し、「国家戦略特区諮問会議で規制について発言することは「『自社への利益誘導』『利益相反』を疑われかねない。疑われて当然。こういう人こそ『ザ・既得権益』『「ザ・政商』『ザ・癒着』であり、改革の対象だ」と痛烈に批判、政府の恣意的な審議会制度の運用にも疑問を呈した。

軽減税率の導入時の混乱に関する麻生大臣発言をめぐり議場が騒然とする場面も

軽減税率の導入時の混乱に関する麻生大臣発言をめぐり議場が騒然とする場面も