衆院予算委員会で19日に開かれた政治改革と税・社会保障等に関する集中審議で西村智奈美議員が質問に立ち、(1)自民党議員の続発する不祥事(2)軽減税率の問題――を追及した。

 「今日は大変残念なことから総理に質問しなければならない」と切り出した西村議員は、この間の閣僚の不適切発言以外にも、「2012年問題」とも言われる2012年の総選挙初当選議員らの「政治とカネ」をめぐる数々の不祥事を取り上げた。

  • 大岡敏孝財務政務官は政治資金規正法の規定額を超える企業献金を受け取った。
  • 加藤寛治農林水産政務官は県議時代に不正処理した政治資金問題で罰金の略式命令を受けて県議を失職した。
  • 藤丸敏内閣府政務官は赤坂の議員宿舎の水道光熱費を政治資金から支出した。
  • 星野剛士内閣府政務官は公正取引委員会から独禁法違反で課徴金納付命令を命じられた企業から寄付を受けた。お祭りの景品として豪華景品をプレゼントしていた。
  • 宮内秀樹国土交通政務官は寄付をした側と受けた側との政治資金収支報告書の食い違い。経歴に記されていない建設会社から報酬を受けていた。
  • 堂枯茂財務政務官は自らが代表を務める政党の支部への寄付によって所得税の還付を受けていた。

 さらに自民党の丸山和也参院議員が「(日本が)アメリカの51番目の州になったらどうなのか」、米国のオバマ大統領を指して「黒人、奴隷であった」などと発言した問題に対して西村議員は、「わが国の主権国家としてのありようを根底から否定する可能性が強い。大変ひどい差別発言だ」と痛烈に批判した。丸山議員が17日の記者会見でも自身の発言について全く反省を示していない姿勢を指摘し、「これはまさに自民党のおごり体質そのものだ」と断じたうえで、安倍総理に2012年問題と言われる数々の不祥事、丸山参院議員の発言について総理・総裁としての認識をただした。

 安倍総理は個別議員の不祥事には一切答えず、「自らの行動については一人ひとりの政治家が責任を持つべき」と自らの責任回避に終始した。それに対し西村議員は、1週間前に総理が同様の発言をしたばかりにもかかわらず、「自民党のおごり」と言われる不祥事が続発している自民党のあり方に猛省を求めた。そして「批判されるのは不条理だ」と全く反省を示していない丸山参院議員について「自民党の法務部会長として、(人権意識の啓発を含む)法務委員会議案を裁き、法案賛否を決する責任者。人権意識の欠如した丸山議員に引き続き法務部会長を任せるのか」と総理に処分の決断を求めた。

 続いて西村議員は、軽減税率について「ティッシュボックスのおまけに果物ジュースがつく場合は消費税10%で、果物ジュースにテッィシュボックスが付く場合は8%」「福袋に食品が入っていれば8%で、入ってなければ10%」「テイクアウトと言って消費税8%で済ませて店内で食べている場合」「店内で食べるといって消費税10%払った後にテイクアウトに変更する場合」など数々の事例を挙げたうえで、軽減税率導入によって、混乱やコスト、負担が大きすぎると指摘した。

西村議員の質問に麻生大臣は苦しい答弁

西村議員の質問に麻生大臣は苦しい答弁

 これほどの混乱にもかかわらず政府与党が軽減税率を導入する理由として「痛税感の緩和」を挙げていることに対して西村議員は、「8%に食品の消費税率を据え置くことが痛税感の緩和につながるとは思えない」と強調した。その理由について「OECD諸国の中で日本の税負担は最も低いにもかかわらず、税負担を重いと感じる人の割合はすごく高い。これこそが『痛税感』だ。なぜ『痛税感』が高くなるかと言えば、払っている負担に対して給付が受けられていないという思いから来る『痛税感』が本当の意味での『痛税感』ではないか。だからこれだけのサービスが受けられるのだと納得いただけるのであれば、軽減税率を導入して上っ面の『痛税感』を緩和するよりももっと根本的な解決になる」と問題の解決策を提示した。

 さらに西村議員は、「社会保障の充実が社会保障と税の一体改革のスタートラインだったにもかかわらず、低所得者対策である総合合算制度、給付付き税額控除が削除されている。これは社会保障の充実に逆行している。『痛税感』を本当になくしていく、軽減していくために社会保障と税の一体改革の原点に立ち返り、給付と負担のバランスを直していくべきだ。そのために民主党は給付付き税額控除法案をしっかり提出する」との方針を示し質問を終えた。