衆院予算委員会で22日に行われた一般質疑で、中島克仁議員は、高市総務大臣による放送法の電波停止に関わる発言と、政府の「介護離職ゼロ」スローガンについての塩崎厚労大臣の認識をただした。

 中島議員は「安倍政権が『介護離職ゼロ』と掲げているのは耳触りが良いが、実現性に疑念を持っている」として、厚生労働省が1月に、介護保険制度で「要介護度1、2」の人を対象とした訪問介護サービスのあり方を見直し、掃除や洗濯、買い物、薬の受け取りといった生活援助サービスを介護保険の給付対象から外し、原則全額自己負担とするプランを検討するとしていることを問題視。「要介護の半数は生活援助で在宅介護が成り立っている。これらを自己負担にしたら介護離職は間違いなく増える」として、言っていることとやっていることが逆ではないかと迫った。

 塩崎厚労相は「今月17日から社会保障審議会の介護保険部会で議論が始まったばかりで、現時点では具体的な方針が決定したわけではない」と説明したものの、要支援者へのサービスが地域支援事業とされた流れを「地域の実情に合わせて提供できるよう見直した。元気な高齢者を増やすことが大事」と逆に開き直る始末。

 これに対して、中島議員は「要支援1、2の移行も、取り組みがままならない地域がたくさんある。プロの介護者が関われないことで逆に認知症が悪化する懸念もある。各地域は不安を抱えている、その中でさらに「要介護切り」を検討しているとは大変な問題だ」と指摘。審議会や国民会議の議論へ責任転嫁するような塩崎厚労相に対し、「『介護離職ゼロ』と掲げながら参院選後に検討した結果、要介護切りの改正法が出されるとしたら『だまし討ち』だ」と厳しく批判。検討の行方に警鐘を鳴らして質問を終えた。

塩崎厚労相と論戦

塩崎厚労相と論戦