衆院予算員会で22日一般質疑が行われ、質問に立った後藤祐一議員は、(1)丸川環境大臣の2月7日の松本での講演(2)特定秘密と会計検査院検査との関係――等について取り上げ、担当大臣の見解をただした。

 東電福島第1原発事故に伴い環境省が2012年度から15年度に実施した本格除染29件の一般競争入札で、1つの共同企業体が入札して落札した「1者応札」が22件と7割超を占め、うち12年度は9件中3件だったものが13年度から15年度にかけては20件中19件を占め、落札率も99%以上が12件に上るなどの調査結果が21日に報道された。この調査結果について丸川環境大臣が概ね事実だと認めたことから、後藤議員は、環境省入札監視委員会の2014年7月の議論でも「もう少し競争性を確保できる取り組みの検討を」とあったにもかかわらず、その改善が見られないと指摘。丸川大臣のリーダーシップで1者応札にならないよう、努力のみならず実践に移してほしいと要請した。

 そのうえで、担当大臣として当然認識し、行っているべきこととして「環境の日は何日か」「(大臣就任会見時に意欲を見せていた)4大公害病(「水俣病」「新潟水俣病」「イタイイタイ病」「四日市ぜん息」)の現場に行っているのか」「水俣病の患者さんから直接話を聞かれたことはあるか」「環境基準と排出基準の違いは」などと質問。これに対し丸川環境大臣は、6月5日の環境の日を「6月1日」、4大公害病についても(イタイイタイ病が発生した)富山以外には訪れたことがない、水俣病の患者さんからの話も聴いたことがない、環境基準と排出基準の違いは事務方に確認して答えるという始末で、後藤議員は「大臣は指定廃棄物の件でも一番問題になっている宮城には行っていない。現場に足を運び話を聞いて欲しい」と求めた。

 丸川環境大臣の2月7日の松本での講演での「今まで環境省はエコだなんだと言っていればよかった」との発言をめぐっては、これを撤回するよう迫ったところ、丸川大臣が「すでに撤回した部分に含まれている」「宮崎岳志議員から質問を受けた際、宮崎議員が私のコメントを読み上げてくださり、『そのコメントについてはすべて撤回したもの』と答弁申し上げた」などと主張。この件については、議事録を精査し、答弁内容が正しいかどうかを理事会で協議することとなった。

会計検査院に対する特定秘密の提供について(政府統一見解)

会計検査院に対する特定秘密の提供について(政府統一見解)


 会計検査院に対する特定秘密の提供については、後藤議員が2月12日の政府統一見解を踏まえて「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれのある資料を会計検査院が他の行政機関に求めた場合、他の行政機関はこれを提供できるのか」と問うと、岩城法務大臣は「会計検査院が検査に必要だとして特定秘密の提供が求められた場合、当該特定秘密が提供されないことは考えられない。憲法上の要請に応じて資料の提供を行うことは当然のことであり、憲法の趣旨を踏まえ、資料の提供の求めに応じ検査に必要な資料が提供されると認識している」と答弁。この「提供される」との答弁を受け、後藤議員は「特定秘密保護法第10条に基づく特定秘密の提供は、会計検査院を含むすべての相手方について、行政機関の長がわが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り、行われる」とする特定秘密保護法第10条第1項第1号に反する解釈だとして、その関係を尋ねたが岩城法務大臣の答弁は迷走。後藤議員は「提供される」との答弁を訂正、撤回すべきではないかと迫ったが岩城大臣はこれにも応じなかったため、理事会で岩城務大臣の答弁内容を精査することとなった。

 後藤議員はあらためて、「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある資料を、会計検査院が他の省庁に求めたくても求められない運用になっていくのではないか」と指摘。会計検査院法第26条では、会計検査院から検査上の必要により提出の求めを受けたものはこれに応じなければならない旨規定していることから、「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合にも適用されるのか。されるとするならば特定秘密保護法との関係が矛盾するので、どちらかを改正する必要があるのではないか」とただした。岩城法務大臣の答弁はここでも的を射ず、この2つの法律の関係についても理事会での精査とともに、これまでの大臣との答弁との関係も含め統一見解として文書での提出を求めた。

PDF「衆院予算委員会 後藤祐一議員配布資料」衆院予算委員会 後藤祐一議員配布資料

丸川大臣の答弁が混乱し、理事が委員長席に詰め寄る一幕も

丸川大臣の答弁が混乱し、理事が委員長席に詰め寄る一幕も