衆議院予算委員会で29日に行われた「外交・国民生活等」をテーマとする集中審議では、階猛議員が安倍内閣の閣僚の資質や「法の支配」への姿勢などを取り上げ、安倍政権の問題点をただした。

安倍内閣の閣僚の資質

 階議員は、麻生財務大臣が25日の財務金融委員会で「農家には税金を1回も払ったこともない人もいる」などと発言したことについて、「農家を蔑視したような発言を撤回し、謝罪すべき」と求めたが、麻生大臣から反省の弁はなかった。さらに階議員は、大臣としての資質が疑われる丸川環境大臣、髙木復興大臣の姿勢にも疑問を投げかけ、「まもなく東日本大震災から5年を迎えるが、復興加速にふさわしい大臣と言えるのか」と安倍総理をただした。安倍総理は「震災復興は最重要課題」と言いながら、いずれの閣僚についても問題がないとした。

安倍内閣の「法の支配」の姿勢

 階議員は「『法の支配』に反する安倍政権の姿勢」を示すものとして、会計検査院と特定秘密保護法との関係についての取り上げた。憲法90条は「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査」すると定めている。他方、特定秘密保護法10条では、特定秘密の提供について「(行政機関の長が)わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」とある。これまでの予算審議の中で、この要件が会計検査院にも適用されるか否かが議論となり、先般、政府はこの要件について「法律上は適用されるが、運用上は具体的な事例として適用されることはおよそ考えられない」とする見解を提示した。

 階議員はこの政府見解の意味を粘り強くただし、会計検査院側から特定秘密の提供を求めなければ「適用はない」が、会計検査院が特定秘密の提供を求めた場合には、特定秘密保護法が適用され、政府が情報提供を拒否する場合もありうる、というのが政府の立場であることを明らかにした。階議員は「この要件の適用範囲が拡大されて、憲法90条が骨抜きにされる懸念がある」とし、「『法の支配』によって運用の歯止めをかけることが普遍的な意義だが、今の政府答弁ではその期待できない」と批判。こうした認識の安倍自民党が憲法9条を改正しようとしていることに強い懸念を示した。

マイナス金利の問題点

 階議員は、「日銀はなぜマイナス金利を付すことができるのか」と質問。黒田日銀総裁は「契約自由の原則に照らし、問題ない」などと答弁。これに対し階議員は「双方の合意のない、一方的な決定が許されるのなら、民間銀行がマイナス金利を付すことも認められるのでは」と重ねてただした。黒田総裁は「各金融機関の経営判断」としつつ「個人向け預金金利がマイナスになるとは考えていない」としたが、階議員は「これまでの審議の中で、総裁の答弁は揺れ動いている」とし、明確な法的根拠を示すよう求めた。

階議員 パネル資料「預金利息に関する規定の例」

階議員 パネル資料「預金利息に関する規定の例」