衆院予算委員会で29日、外交・国民生活等に関する集中審議が開かれ、民主党のトップバッターとして質問に立った岡田克也代表は、(1)衆院選挙制度改革(2)経済と財政健全化(3)夫婦別姓、子ども手当に関する安倍総理の発言――等について取り上げ、安倍総理らの見解をただした。

 衆院選挙制度改革に関して岡田代表は、議長の諮問機関が示した答申の根幹である、より人口比を反映しやすい「アダムズ方式」の導入について明言するよう要求。答申では、2010年の国勢調査に基づき都道府県間の配分を行った上で、2015年の簡易調査で2倍を超えるところがあればその県の中で線引きを変えるよう求めているとして、2020年の国勢調査に基づき都道府県間の配分を行うとする安倍総理に、「実際にやるのは2022年、23年。そんなに先送りしてその間違憲状態が継続する。それで本当にいいのか」と迫った。

 また、衆院議員選挙区画定審議会設置法3条に配分基準として「アダムズ方式」を明記するよう主張。自民党内でアダムズ方式を中心に議論中であることを理由に明言を避ける安倍総理に対し、岡田代表は「3条にきちんと書かなければ何もやらなかったのと一緒。賢明な決断を自民党、あるいは総理総裁がされることに期待したい」と述べた。

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 第2次安倍政権での3年間で税収が21兆円増えていることをアベノミクスの果実として安倍総理が吹聴していることに対しては、そのうち国の税収増15.3兆円には消費税での税率引き上げ分や、所得税での金融課税の10%から20%への引き上げ分など民主党・野田政権時に決めた税制改革の結果であるものが含まれていることから、「安倍政権の経済成果の結果が15.3兆円の一部にあることは否定しないが、これを丸々アベノミクスの成果というのはかなりの上げ底ではないか」「為替のレートや株の価格は1国だけでは決められない部分がたくさんあるなかで、全部アベノミクスの成果で、成果であるから自由に使わせろというのは注意した方がいい。あまりにも楽観的で一方的な見方で財政再建を考えていくと国を誤る」と警鐘を鳴らした。

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 そのうえで、第1次安倍内閣時の2007年度から16年度までの10年間の国の財政状況を比較すると、税収は約4兆円増えているものの公債金は9兆円増、公債残高は約300兆円増だとして、「消費税増税がなければ予算は組めていない」と問題視。経済成長に過度に依存することなく財政健全化に取り組むべきだと述べ、「大事なのは歳出の削減、直ちにできなくても仕組みを変えること」だと強調した。これに関連し、代表質問で自身の答えとして、安倍総理が安倍政権での行政改革の具体例として挙げた3つのうち「特別会計改革」と「独立行政法人改革」の2つは、民主党政権でほぼ仕上げて国会まで法案提出しながら衆院解散により廃案になったものが変わって出てきたものだと指摘。残りの1つは、基金5千億円をつぶして一般会計へ返納するというものであることから、「使い切れないなどの理由で戻しただけ。甘い見通しでつくったのもではないか」と断じた。

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 国の行政機関の定員純減の推移にも触れ、民主党政権時には東日本大震災が起こった2011年を除き毎年2000人程度純減していたものが、安倍政権になった途端その半分の1000人程度にとどまっていると指摘。官僚が書いた原稿を棒読みしてできない理由を並べる安倍総理に対し、IT化の促進をはじめとする行財政改革に真剣に取り組むよう求めた。

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 2010年の雑誌の対談のなかでの夫婦別姓と子ども手当に関する安倍総理の発言については、撤回すべきではないかとただしたが、安倍総理はこれを拒否。特に子ども手当の発言をめぐっては、「あのとき民主党のなかで、『子育て支援、子ども手当というのは、両親や家族から養育費が払われるのではなく国家から直接子どもたちに養育費がいくことによって、自分たちは両親に対して何の義理や義務も感じる必要がない』という議論があった。家族ではなく国家が育てるという考え方は間違っているということを申し上げた」などと答弁したため、岡田代表は、「今の発言は私は聞いたことない。どこでどういう発言があったのか明確にしてほしい。そういう事実がなければ撤回して謝罪をしてほしい」と求めた。

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