奥野総一郎議員は29日、衆院予算委員会の外交・国民生活等に関する集中審議で質問に立ち、安倍総理や関係閣僚に対し、(1)電波停止問題(2)政治的公平性の解釈――など、報道の自由の問題について問いただした。

 「報道の自由はというものは民主主義の基本だ。事実を国民が知るためには自由に報道できなければならない。アベノミクスがうまくいっているのかどうか判断するのは国民だ。その材料を、事実をきちんと報道していくことが放送の基本だ。しかし最近、報道の自由が脅かされている。あるいは萎縮しているのではないかという声を耳にする」と奥野議員は述べ、2013年からのTBS、NHK、テレビ朝日などに対する政権与党の一連の対応について、安倍総理は承知しているのか、または承認や指示を出しているのかと問いただした。

奥野総一郎議員

 「アベノミクスを批判することを許容できないことが問題。これで日本の報道が萎縮しないと思っているのか。選挙直前にこのような対応を取られれば、選挙報道を自由にできなくなる」「総務大臣には非常に強い権限が与えられており、どういう場合が放送法違反になるのかが大事だ。従来の政府答弁は、番組全体としてのバランスを見て判断するというものだったが、高市総務大臣の答弁では、個別の番組でも停波をしうるということに変わった。そこが決定的な問題だ」と奥野議員は指摘し、安倍総理に対して、「個別の番組についても停波や業務停止がありうるということでいいのか」とあらためて質問した。安倍総理は、「高市大臣の見解は、番組全体で判断するという従来の解釈を変更するものではなく、補充してより明確にしたもの。一つひとつの番組を見ないと全体を判断できない」と強弁した。

 奥野議員は、「こうした政治の姿勢は国際社会でも批判されている」と述べるとともに、自民党内からも懸念する声が出ていることを紹介。「報道に対してはもう少し抑制的に対応すべきだ。政府が一つひとつの番組を注視している国など先進国にはない」と安倍総理の姿勢を厳しく批判した。

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