衆院予算委員会で29日に行われた外交・国民生活等に関する集中審議で、山尾志桜里議員が、安倍政権下で子育て世代への支援が進まず待機児童問題が悪化している現状について総理の認識をただした。

 山尾議員は冒頭、ネット上で大変な勢いで広まり、テレビや雑誌でも取り上げられて大反響を呼んでいる「保育園落ちた日本死ね!!!」と題する下記投稿について取り上げた。この投稿を読み上げる前に山尾議員は、待機児童問題に直面する当事者の悲鳴を国民の皆さんにも知ってもらうため、予算委員会で使用できるよう準備していたが、与党側から委員への配布、フリップにして国民の皆さんに見せることのいずれも許可されなかったことを明らかにした。こうした政府与党の対応について「安倍政権は都合の悪い声は徹底して却下する。都合の悪い声は徹底して無視する。安倍政権のそういう体質の象徴となる対応だ」と痛烈に批判し、この投稿に対する安倍総理の認識をただした。

 保育園落ちた日本死ね!!!
 何なんだよ日本。
 一億総活躍社会じゃねーのかよ。
 昨日見事に保育園落ちたわ。
 どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
 子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
 子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。
 まじいい加減にしろ日本。

 安倍総理が「実際に起こっているかどうかを確認しようがない。議論のしようがない」と全く気にかけていない姿勢を示したのに対して山尾議員は、「言葉は荒っぽいが、本音、本質だ。だから共感し支持する声がものすごい勢いで広がり、マスメディアでも全文が取り上げられた。これは今、社会が抱えている問題を浮き彫りにしている」と総理の認識の低さを追及した。

軽減税率の導入よりも子育て支援策をと訴える山尾議員

軽減税率の導入よりも子育て支援策をと訴える山尾議員

 安倍総理が保育士になるときの学費を援助するなどの対策を示したことについて山尾議員は、「待機児童の最大の原因は、保育士が1人でも足りないと保育園を開けない。保育士が足りないのは、なりたい人がいないからではない。平均給与が全産業平均の給与より9万円低くて、なっても続けられないからだ」と指摘。本質的な解決策は保育士の給与を上げることであり、そのためには3党で合意した「子ども・子育て支援新制度」の3千億円の追加財源確保が必要だが、これが「軽減税率の横入りで後回しにされることが予算委員会審議で明らかになった」と問題視した。

 公明党との約束である軽減税率のための残り6千億円の財源は3月までに必ず見つけると表明している安倍総理に山尾議員は、「子育て中のお母さんやお父さん、国民との約束である子育て支援は、2月4日に(総理は)財源がなければできないと言った。安倍総理、どこを向いて仕事をしているのか。選挙のためか、国民のためか。もし国民のためというなら消費税増税の時に約束した子育て支援の3千億の財源を絶対に見つけて実行すると言うべきだ」と総理の見解を求めた。

0.3兆円の子育て支援

 結局、安倍総理が「3千億円の財源を見つけて実現する」と言わなかったことを受けて山尾議員は、「子育てにとって大事な大事な3千億円は事実上、断念に近くなっているではないか。『子育てより選挙』。『この国の未来よりこの夏の選挙』。そういう政権なのか。私たちが提案している給付付き税額控除なら、軽減税率の1兆円に対して3600億円で済む。そうすれば子育てのための3000億円の財源が見えてくる。それが本当にできれば、保育士の給与を(全産業)平均給与並みに引き上げて、待機児童を困っているお母さんの声に応えることができるではないか」と安倍総理に政策の転換を求めた。

 安倍総理は提案を無視し、子育て支援に消極的姿勢を示し続けたため、「お金に余裕がない子育て世代よりも票とお金のあるところに税金を流していくという安倍政権の体質は変わらない。私たちはそういう体質ではない。しっかりとこの国の未来のために税金が流れていくように政治家としての責任を果たしていく」と宣言し質問を終えた。