衆院本会議で1日、政府提出の2016年度予算3案(一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算)の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。採決に先立ち、本村賢太郎議員が予算3案に反対、民主・維新・無所属クラブ提出の予算撤回のうえ編成替えを求める動議(組み替え動議)に賛成の立場から討論を行った。

 本村議員は、過去最大規模の96.7兆円の2016年度政府予算に反対する理由として、(1)格差是正の問題(2)地域再生の問題(3)農政の問題――の3点を列挙。

 格差をめぐっては、相対的貧困率が過去最悪に達し、子どもの貧困も深刻であり、1人親家庭の子どもの貧困率はOECD諸国の中で最低であるにもかかわらず、政府案にはこうした格差問題をいかに是正するかという視点に欠け、問題解決に遠く及ばないと指摘。「持続的な経済成長に不可欠なものは人材であり、人々の持つ能力を最大限発揮できるようにするため、格差是正、人への投資に、できる限り予算を振り向けるべきだ」と主張し、これに対して民主・維新・無所属クラブ提出の組み替え動議は、中小企業正規雇用促進のための社会保険料負担軽減や年収の低い世帯の若者に対する奨学金拡充、返済不要の給付型奨学金の創設、児童扶養手当支給対象年齢の20歳までの引き上げ、多子加算の一律1万円への増額、35人以下学級の拡充、介護・障害福祉従事者、保育士等の給与の引き上げにかかる費用を含み、格差是正の第一歩となるものだと説いた。

 地域再生については、アベノミクスの地方波及には現実味がなく、地域の実情が分からない霞が関主導の枠組みに過ぎないひも付き補助金とそれに類する交付金だらけの予算であり、「地方創生」は絵に描いた餅に過ぎないと批判。民主・維新・無所属クラブの組み替え動議は、「7千億円規模の補助金・交付金等を、地方自治体にとって自由度が高く創意工夫しやすい一括交付金に転換するとしている。地域の知恵を最大限に発揮できるようにする点で、地域再生の起爆剤となるものだ」と述べた。

本村議員が訴える

 農政については、米価の大幅下落に苦しみ、廃業も検討せざるを得ない状況に追い込まれている農家の人々に対して、安倍政権は農業者戸別所得補償制度を縮減・廃止し、農業土木復活の方向にかじを切り、日本の農業の根幹を崩し始めていると問題視。民主・維新・無所属クラブの組み替え動議は、再生産可能な農家所得を保障し、農業経営の安定を図り、営農が継続されることを通じて、多面的な機能の維持を図る農業者戸別所得補償制度を復活させるとしていると述べ、「こうしたセーフティネットをつくることは、各地の農家を競争力と魅力あるものに変えていく一里塚になるはずだ」とその意義を強調した。

 そのうえで、「政府提案の予算のままでは、経済再生と財政健全化の両立どころか、共倒れになることは必至だ」と述べた本村議員は、「0歳から母ひとり、子ひとりの環境で育った経験からも、子どもの貧困や格差是正の観点が欠けている予算には賛成できない」とあらためて表明。「世の中のすべての子どもたちは、必要とされて生まれてきたと思う。その子どもたちがこの日本で、どんな環境に生まれても、夢を語り、夢を追いかけてゆく姿を支えていくことが私たち政治家の本来の使命ではないか」「いま、世の中は格差是正・分厚い中間層の復活を望んでおり、それを目指すのはまさにわれわれ民主党と維新の党だ」などと訴えた。

 最後に、菅官房長官が消費税の10%への引き上げを再び見送る可能性に言及したことにも触れ、「まさにアベノミクスが失敗したことを認めたに等しい。今こそ経済政策の転換が必須だ」と指摘。「われわれは、成長戦略の実行、再分配や雇用の安定化により底上げを図る経済政策への転換を着実に図るとともに、強権的な安倍政治に対抗していくため、野党勢力の結集を図り、来る参院選挙で勝ち抜く」と誓い、討論を締めくくった。

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