大久保勉議員が16日の参院本会議で、「復興財源確保法・特例公債法改正案」(内閣提出)について質問した。

 大久保議員は冒頭、「復興財源と特例公債の2つの全く違う法律を、1本にまとめている。このような束ね法案は国会の審議権を形骸化し、議会制民主主義を崩壊させるものだ。さらに、賛否の表明も分けることができず、国会議員の表決権を侵害するものだ」と批判した。

   赤字国債の発行については、「根拠法を毎年国会に提出して議決を求めることが本筋だ」として、今後5年の間、予算の議決のみをもって赤字国債の発行ができる方式に反対した。

 日銀の国債買い入れについては、「新規国債発行額の2倍以上に当たる、年間80兆円の国債を毎年日銀が購入することは、紛れもなく(原則禁止されている)財政ファイナンスではないか」と指摘した。

大久保勉議員

 また、「金融緩和は、いわば経済のカンフル剤だ。経済の構造改革・成長戦略がない場合には、最初は効いても、だんだん効かなくなる」と懸念を示し、「黒田日銀総裁自らが『異次元』と表現する金融緩和は、果たして出口を探すことができるのか。出口を考えずに異次元緩和を繰り返し、後は日銀総裁を退任して知らぬふりでは余りに無責任だ」と警告した。

 政府が消費税の引き上げに当たって軽減税率の導入を決めたことに関して、「1兆円もの社会保障予算が削られるおそれがある。社会保障のどこにメスを入れるつもりか。まさか子ども・子育て支援もその対象か。『保育園落ちた』とのお母さんたちの悲痛の叫びが聞こえないのか」と迫った。

 そして、「IMFの統計によると、わが国の1人当たりGDPは、安倍政権発足前の2011年には世界第19位だったが、2016年には第25位まで大きく後退する見通しだ。過度な円安がドルベースでの購買力を減少させ、国民の豊かさを奪っているという側面をこの数字から見て取れる。輸入物価の上昇により、食料品等生活必需品の上昇、実質消費支出の減少、地方経済の低迷と負のスパイラルを作っている」として、「国民生活や地方経済への視点の欠如が、アベノミクスの落とし穴だ。過度な金融緩和、過度な円安政策に頼るのではなく、遠回りに見えても強固な財政基盤の下、経済構造改革、教育改革、社会保障の安定化を推し進めることが、日本の長期的な経済成長につながる」と提言した。