本日は新党結党大会のご盛会、誠におめでとうございます。連合を代表して、一言ごあいさつを申し上げます。

 私はこれまで、自民党だけが強いという1強政治からの脱却を求める、多くの国民の思いを受け止める受け皿作りを進めるべきであると申し述べてまいりました。本日はそうした取り組みの一つの成果が形を現したものであると認識しております。今後は、国民の信頼を得、2大政党的政治体制の一翼を担うことのできる政党となるよう、さらなる取り組みをお願いしたいと思います。

 一方、ここに至るまでの進め方を振り返るなかで、建設的な意味で一言申し述べておきたいと思います。民主党が政権を下野して以降、世間の逆風の中で、それでも必死に頑張ってきた党員・サポーターの方々の理解は、果たして現時点でどのようなものになっているか。どうか、甘い思い込みで判断されることなく、今後十分に丁寧に対応していただくことが不可欠と考えます。万が一にもこれまでの確固たる支持者・支援者の理解が進まないとなれば、国民各層からの理解を得るなどということは夢のまた夢であり、非常に難しいのだろうと思います。ぜひ、この場にお集まりの皆様、特に旧民主党の方々にはそうしたことも踏まえ、今後の活動につなげていただきたいと思います。

 綱領には、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つことも明記されており、民主党の掲げてきた理念は残されているものと認識しております。

 民主党政権が瓦解(がかい)したのは、そのガバナンスのつたなさによるものだったのであり、社会保障と税の一体改革をはじめ、民主党政権でなければできなかった数々の理念・政策・施策はしっかりと引き継がれるべきです。間違っても目先の人気取りで魂まで失うようなことがあってはならない、そのことを強く訴えさせていただきたいと思います。こうした点については、引き続き政策協議の場を設けていただき、われわれの考え方を申し述べさせていただきたいと思っております。

 さて私たち労働組合は、よくあるステレオタイプの批判において、既得権益だけを守る団体、改革に後ろ向きの守旧派的勢力としてみなされることがままあります。もしかしたらこのなかにもそういった主張をされてきた方もおられるかもしれません。

 私たち連合は、今、結成27年目です。戦後の混乱期から高度経済成長を経験するなかで、かつての、イデオロギーに強く染められた運動から脱却し、民主的な労働運動を確立してきた先輩方から、長い間の歴史を引き継ぎ今日に至っている組織です。そして連合を結成してきた最大の動機は、個別の現場・個別の労使関係だけでは解決のつかない、国全体の社会保障や税制等の問題や矛盾があまりにも大きなものとなっていることへの危機感であり、総評・同盟・中立労連・新産別という、それぞれの組織が持っていた考え方の違いを乗り越えて大同団結を図ってきたのです。

 残念なことにその課題解決は、民主党政権が瓦解をしてしまったこともあり、未だ展望を持てないのが現実です。いやむしろ格差の拡大や子供の貧困等、わが国の社会の矛盾は大きくなる一方です。私たち連合はあくまでも全ての働く者のための存在として、従来の取り組みの延長線上にとどまらない闘いを展開していきます。

 そしてもう一つ申し述べておきたいことがあります。私たち連合の組合員は一人ひとりは普通の国民であり普通の市民です。私も一国民として常に感じていることは、国民の政治離れこそが政治を劣化させてきた、このことを何としても食い止めなければならないということです。自分の選挙区から出ている立候補者の政策と人柄はどのようなものであるのか、そのことに正面から向き合う姿勢を当たり前のものとすべく、連合がリーダーシップを取っていかなければならないという思いを強くしているところです。

 冒頭に申し上げましたように、立憲主義、民主主義をないがしろにする安倍政権の1強政治に対し、多くの国民が疑問を持ち始めています。また、社会福祉や教育などでさまざまな問題が顕在化しており、国民の将来への不安は高まっていると言えます。アベノミクスでは国民生活が豊かにならないどころか、そのマイナスの副作用が出てきています。

 本日結党された民進党が安倍政権への対抗軸を明確に打ち出し、働く者、生活者の不安を解消し、安心と希望を抱かせるような理念と政策を示すことが今こそ求められています。それが目前に迫った衆院の補選、それに続く参院選の勝利につながるものと確信しています。

 私たち連合も12名の参院比例候補を始め、推薦候補全員の当選のため全力を尽くします。ともにがんばりましょう。ありがとうございました。