民進党は28日、「民進党はじめます。」全国キャンペーンのキックオフとなる街頭演説会を東京都内で開催。岡田克也代表をはじめ新役員がマイクを握り、今日本が抱える危機を乗り越えるためには安倍政権に対峙(たいじ)するもう一つの大きな政治勢力が必要だとして、「国民とともに進む民進党」への理解と支援を訴えた。

枝野幹事長

枝野幸男幹事長

 「民進党、はじめました」と切り出した枝野幸男幹事長は、「私たちは、今この国の置かれている状況に強い危機感をもって、この国の政治にしっかりと緊張感を取り戻す、民主主義の社会であれば当たり前の、政権交代が当たり前に起きる政治をもう一度しっかり作るために立ち上がった」と新党結党に至った意図を説明。「私たちの国は今、立憲主義の危機、民主主義の危機、国民生活の危機という大きな3つの危機に直面している」と述べ、憲法の解釈を勝手に変えた安全保障法制や民主主義の前提である報道・表現の自由が権力者によって脅かされていること、経済的理由で進学をあきらめる子どもたちが増えていることなどを一例に挙げ、「誰もが未来に希望を持てる国を、誰もが安心して歳を重ねることができる国をしっかりとつくろうではないか。この3つの危機を乗り越えるためにさまざまな思いを乗り越えて民進党が始まった。多くの国民の皆さんの声を受け、多くの皆さんの声とともに私たちは前に進んでいく。ぜひ皆さんの力でこの国の健全な民主主義をしっかり立て直す、そんな力を私たちに与えていただきたい。民進党は前に進む。ともに進もう」と呼びかけた。

山尾志桜里政務調査会長

山尾志桜里政務調査会長

 山尾志桜里政務調査会長は、「今政調会長としてここに立っている、その原点は国民の声が教えてくれた待機児童の問題だと思う。国民の声が政治を動かそうとしていることに気づかせてくれた。この問題には、私たち民進党が掲げる『自由・共生・未来への責任』のすべてが詰まっている」と述べると、子どもを保育所に預けられなかった女性の1つのブログをきっかけに待機児童対策や保育士の待遇改善を求める声が広がるなか、安倍政権のもとで国民の声で政治を動かすための国民の自由が危機にさらされていると指摘。「私たちは国家の自由を追求する政権から国民の自由を守らなければいけない」と力を込めた。待機児童問題をめぐっては、その最大の原因である保育士不足、保育士の給与不足を解決が必要だと主張。多くの人々がこの国の最大の問題は少子化だと認識しながら子どもにかける予算がないがしろにされているとして、「私たちは未来への責任を果たす政党だ。若者、子ども、現役世代をしっかり支えることで全世代の未来を切り開いていく。国民とともに進む民進党と一緒に安倍政権に対峙(たいじ)して、もう一つの政権を担える政党となるよう力を貸してほしい」と訴えた。

長妻昭代表代行

長妻昭代表代行

 長妻昭代表代行は、「『この道しかない』と言って日本を一つの色に染め上げようとする安倍政権に対し、多様性を認め、共に生きる社会をつくっていくというもう一つの選択肢を国民の皆さんに示し、選んでいただけるような大きな政治勢力をつくる。この第一歩が民進党だ」と、新党結党の意義をあらためて強調。「今日本の大きな問題は、国民の皆さんの支え合う力が非常に弱くなっていることだと思っている。ナショナリズムが台頭し狭量な言動が踊っていると心配している。それを解決するのがわわれわれの目指す共に生きる社会、共生社会だ」と説き、その共生社会の実現を阻んでいるのが「教育の格差」「雇用の格差」「男女の格差」の3つの格差の壁だと指摘した。これら格差の壁を打ち破るための政策として、子どもの貧困対策としての1人親家庭への支援や最低賃金の引き上げ、同一価値労働同一賃金などを挙げ、「安倍内閣を倒し、本当の意味で進むべき社会を指し示し、実現していく。民進党をさらに育ててほしい」と民進党への理解を求めた。

蓮舫代表代行

蓮舫代表代行

 蓮舫代表代行は、2014年3月に行方不明になっていた当時中学1年の女子生徒が27日に保護された事件に言及し、「私たちが担わなければいけない役割をあらためて感じた。一体いつからこの国は自分の子どもを育てるときに、子どもの成長よりもこうした事件や事故に巻き込まれる子育ての不安を覚えなければいけない国になったのか」と提起。虐待を受ける子どもの数が4万人近くにまで増加していること、厳しい生活を強いられている1人親家庭が多くあること、子どもを保護する立場にある児童相談所の職員やスクールカウンセラーに過重な負担がかかっていることにも触れ、「いったいいつから親がどんなに頑張っても働いても食べていけるだけの金を稼げなくなったのか」などと述べ、「政治の力があまりにも育児や次世代や子どもに対して無責任だったと断言せざるを得ない。与党自民党はずっとこの問題を先送りにしてきた」と批判。「次の世代に、子どもたちに、生きていくのが大変な人たちにしっかりと底支えをする、人への投資をするのが民進党の新たな責任だ。皆さんと一緒に民主主義を進める、民意を進める、国民とともに進む民進党にご支持をいただきたい」と訴えた。

江田憲司代表代行

江田憲司代表代行

 江田憲司代表代行は、「民進党は、国民とともに進む。特に社会的に弱い立場にある人たちに寄り添って進むという意味だ。強い者をさらに強くすることで、そのおこぼれが弱い者にいくだろうという安倍政治では日本の未来は切り拓けない。低所得の皆さん、年金が少なくて困っている高齢者の皆さん、1人親家庭や貧困家庭のお子さん。やむなく非正規や派遣で働くことを余儀なくされている人々、難病や障害をお持ちの人々。そういう人々に光を当て、皆さん方の税金を配分していきたいと思っているのが民進党だ」と表明。公共事業偏重の安倍政権の予算配分を問題視し、政権交代で民進党が政権を取れば予算の配分が根底から変わるとして、小学校4年生の子どもがいる父親の立場からも子ども・子育て支援にしっかり予算を振り分けるべきだと主張した。みんなの党、維新の党と歩んできた自身の経験を振り返り、「自民党のライバル政党をつくり、互いに切磋琢磨し、緊張感をもった国会、政治にしなければ国民を向いた政治はできないというのが私の信念だ。政治は社会的弱者のためにある。私も微力ながら代表代行として頑張っていくのでぜひご理解を」と呼びかけた。

岡田克也代表

岡田克也代表

 岡田代表は、安倍政権の下での憲法の平和主義と格差が拡大する国民生活と、2つの危機感を持っていると述べ、29日に施行される安全保障関連法については、「歴代の総理大臣が集団的自衛権の行使を憲法違反だと言ってきたなかで、安倍総理が、力で憲法解釈を変えてしまったことを忘れないでほしい。憲法の平和主義を簡単に変えていいのか。自国の安全を守るのは国家として当然の責任だが、武力行使を憲法が認めているとは思わない。さらに安倍総理が目指すのは限定なく集団的自衛権を行使できる国だ」などと指摘。「『あとあと、あのとき声を上げなかったからこんな国になってしまった』と言っても遅い。今大きな分岐点に立っていることをご理解いただきたい」と訴えた。

 格差の拡大をめぐっては、日本は中間層が下に落ちていっている格差の拡大だとの見方を示し、特に子どもの6人に1人が貧困状態にあることや、規制改革により不安定な雇用が増加、それにより望んでも結婚できない人が増え少子化も進んできていることなどを問題視。「こういう政治を変えよう。しっかりと働いている人が安心して生活をできる日本に戻していこう。私たちは日本を格差の少ないモデル国家にしたい」と述べた。

 そのうえで、「われわれは『安倍政治』とは違う政治を目指す。私たちに力をいただきたい。この国を間違った方向に行かせないために、そして、2つの政党がお互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、国民の方を向いて、競い合っていく政治を実現するために力を貸してほしい」と民進党への支援を求めた。

 司会進行は、今井雅人幹事長代理が務めた。

民進党への理解求める岡田代表ら

安倍政権に代わる政治勢力へ。「国民とともに進む。」民進党への理解求める岡田代表ら

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