5日の衆院本会議では、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定締結とTPP関連法案について趣旨説明と質疑が行われ、民進党からは山尾志桜里政務調査会長が質問に立った。

 質疑に先立ち、山尾政調会長は「国民の声を聴き、国民の言葉で語り、国民とともに政策を前に進めていく、それが私たち民進党だ」とアピール。民進党が審議を求めている「安全保障関連法廃止法案」や「保育士等処遇改善法案」といった政府法案への「対案」こそ審議するべきだと主張し、安倍総理に「審議から逃げるな」と呼びかけた。

 山尾政調会長は、TPP交渉の合意以後、国民の皆さんから聞いた声は「怒り」だと強調。自民党は、2012年の総選挙の際には「聖域なき関税撤廃を前提とするTPP協定参加には反対」と政権公約に掲げ、「ウソつかない TPP断固反対 ブレない」と書かれたポスターが全国各地に張られた事実を突き付け、「このうそにこそ、国民の皆さんは怒っている」「総選挙での約束を守らなかったことを認め、その理由を説明するべき」として、国民に真摯(しんし)に向き合うよう求めた。これに対し安倍総理は「聖域なき完全撤廃を前提としないことをオバマ大統領との会談で確認し、厳しい交渉の中で最善の結果が得られた。国民との約束は守られた」などと強弁した。

 さらに、「交渉の中心人物」たる甘利前大臣が国会にいないことに加えて、事務方トップを担ってきた鶴岡主席交渉官も本日付で駐英大使に転出することについて、「(国会に)いるのは、就任前公然と『TPPには反対』と明言していた石原大臣だ。前言をひるがえした担当大臣の、一夜漬けのにわか知識で空虚な答弁をしても国民の負託に応える議論はできない」として強く抗議した。

 山尾政調会長はまた、先般の合意では「聖域」とされた重要5項目のうち約3割で関税が撤廃または削減されたことから「『聖域』が確保された、国益が守られたと強弁するには無理がある」と指摘。農林水産業への影響についても、農林水産省が行った試算では、TPP発行によって輸入が増え、日本の人口が減少していくにもかかわらず、生産量は変わらないとされていることについて「農業の現実を直視せずに切り捨てようとしている」として影響試算のやり直しを求めた。

 山尾政調会長は「記録は作っていない、交渉経過は検証できない、守り切ると約束した聖域でも相当数で関税撤廃をのまされる、優位に立つ自動車分野でも大幅な譲歩を重ねた。この状態で、漫然と国会審議を求めてくるのは不誠実だ。私たち民進党はこの国会での議論を通し、あのうそから今も続く安倍政権の慢心とおごりが、いかに国益を傷つけ、国民の暮らしを脅かそうとしているか、厳しく検証していくことを約束する」と締めくくった。

政府法案への「対案」こそ審議するべき、安倍総理に「審議から逃げるな」と呼びかけた山尾議員

安倍総理に「政府法案への対案こそ審議するべき」「審議から逃げるな」と呼びかけた山尾議員