民進党政務調査会長 足立信也

 政府は本日、「働き方改革」関連一括法案を閣議決定した。

 本法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」の創設は、残業代ゼロで無制限な長時間労働を合法化し、過労死や過重労働による重篤な健康被害を助長してしまうものである。過労死ゼロを切望する国民の要請に逆行する政策であり、断じて容認できない。

 安倍政権は、杜撰な調査に基づいた、かつ本来比較してはいけないデータで裁量労働制の方が労働時間が短いという印象操作を行い、企画業務型の対象業務拡大を正当化しようとしてきた。しかし裁量労働制は、長時間労働の温床になることが指摘されており、本法案から削除されたことは当然である。

 安倍政権は、「高度プロフェッショナル制度」を時間外労働の上限規制と同じ本法案に盛り込んだ。長時間労働の促進と是正という趣旨が真逆の制度を1つに束ねて審議を要求することは適切でない。また、本法案には同一労働同一賃金関連の法案なども盛り込まれており、束ねられた法案数は8つにも上る。安保法制と同様、1つ1つの法案の議論が深まらないようにする安倍政権の常套手段であり、国会軽視も甚だしい。

 加えて、安倍政権は中小企業に対する規制の適用を当初の案から1年先送りするとともに、中小企業への規制を緩めるような規定も盛り込んだ。中小企業で働く人の命と健康を蔑ろにすることは許し難い。また、大手広告代理店の新入社員の過労自殺の要因の1つと言われているパワハラに対する規制など、働く者のための働き方改革に必要不可欠な対策がすっぽり抜け落ちている。

 先般、東京労働局長が公権力を振りかざして報道機関に圧力をかける発言を行ったが、労働行政に対する信頼を著しく失墜させる行為である。安倍政権は、信頼回復無しに「働き方改革」は実現しないことを肝に銘じるべきである。

 民進党は、引き続き、時間外労働の上限規制、インターバル規制の義務付け、裁量労働制の厳格化等を含む実効性の高い長時間労働規制や、パワハラ規制等を含む対案を今国会に提出するとともに、「高度プロフェッショナル制度」を法案から削除するよう求めていく。働く人の立場に立ち、誰もが安心して働き、安全に暮らしていくことの出来る「安心労働社会実現」のために全力で国会論戦に臨んでいく。

以上