民進党は5日夕、「次の内閣」会議を国会内で開催し、新党発足に伴い新たに設置した共生社会創造本部の最終とりまとめの「能力の発揮を阻む“格差の壁”を打ち破り、支え合う力を育む―公正な分配なくして持続可能な成長なし―」「共生社会創造に向けた民進党11の提案(共生イレブン)案」を了承した。

 長妻昭代表代行は、最終とりまとめに関して共生社会創造本部役員に旧維新の党出身議員から3議員を迎え、役員会、総会を開き取りまとめたことを報告。「IMFやOECDの調査レポートにあるように所得格差が拡大すると経済成長は低下する。そのメカニズムは格差の壁が厚く高くなると、個人の能力発揮や個人消費を阻み、それが経済成長を押しつぶす。つまりカンフル注射を日銀がいくら打っても、根本問題を取り除かないと中長期の経済成長はできない。今回の最終取りまとめは社会政策であると同時に中長期の経済政策である」と強調した。最終とりまとめから「共生社会創造に向けた民進党11の提案(共生イレブン)として下記の重点政策を説明した。

共生社会創造に向けた民進党11の提案(共生イレブン)

教育格差の壁を打ち破る――「子どもの貧困」と戦う

(1)児童扶養手当の大幅拡充
(2)渡しきり(給付型)奨学金の創設

雇用格差の壁を打ち破る

(3)有期雇用の入り口規制を導入する
(4)最低賃金を引き上げる
(5)介護職・保育職の待遇を改善する
(6)社会保険の適用拡大

男女格差の壁を打ち破る

(7)「同一価値労働同一賃金」の法定化
(8)選択的夫婦別姓を実現する
(9)低年金者に対する支援

長時間労働の壁を打ち破る

(10)労働時間規制の強化・インターバル(休息)規制の導入

“格差の壁”を打ち破るための財源

(11)金融所得課税の引き上げ

 会議ではこのほか、議員立法の「金融商品取引法の一部を改正する法律案」を審査し了承した。この法案は、会社の取締役会の構成員でない相談役、顧問等が経営の重要判断を左右する場合、実態が分かるよう情報開示が必要であるため、代表権者であった者のうち、経営に関与する蓋然性が高い者を有価証券届出書等に記載するというもの。

 復興加速のための4議員立法(1)「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案」(2)「災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案」(3)「東日本大震災特別区域法の一部を改正する法律案」(4)「東日本大震災からの復興のために実施される集団移転促進事業の移転促進区域における土地の処分の円滑化に関する法律案」について中間報告を受けた。

 続いて政府提出案件の審査を行った。(1)「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(2)「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律案」――の2閣法に賛成、(3)「児童扶養手当法の一部を改正する法律案」(4)「独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案」――の2閣法の最終対応は政調会長と「次の内閣」の担当大臣に一任した。(5)「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」については部門会議で修正案をとりまとめ、与党側と協議中との報告を受けた。関連して核燃サイクルについて会議体をつくることを決定した。(6)「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第6次地方分権一括法案)(7)「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」――の2閣法の審議方法は、総務部門会議で議論することを確認した。

 山尾志桜里政務調査会長が(1)「次の内閣」のネクスト副大臣人事について(2)政務調査会の役員構成・担務について(3)社会保障と税の一体改革調査会、憲法調査会、経済連携調査会の設置を提案し了承された。最後に政務調査会役員会が審査した閣法の「国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業円滑化支援法の一部を改正する等の法律案」について賛成の報告があった。

PDF「共生社会創造本部「最終とりまとめ」」共生社会創造本部「最終とりまとめ」

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