岡田克也代表は6日午後、埼玉県を訪れ、新座市内で同県第4区の吉田芳朝総支部長の支持者と、さいたま市内では連合埼玉役員とそれぞれ意見交換。JR川口駅前では同県第2区の菅克己総支部長と、新越谷駅前では同県第3区の山川百合子総支部長とともに街頭演説を行った。

■吉田芳朝・埼玉県第4区総支部長 新座市内で支持者と意見交換

 あいさつに立った岡田代表は、「参院選挙が7月10日に行われるとなると選挙まで100日を切ったことになる」と述べ、衆参ダブル選挙を前提で準備を進めていると報告した。10日前にスタートを切った民進党については、議員間の考え方に大きな隔たりがないのであれば一つになるべきだとの認識に立ち、結党に至ったと報告。この間の選挙で自民党に大勝を許した要因は、1人区で野党が分裂して自民党が漁夫の利を得る選挙区が多数あったからだとして、今回の結党も含めてそうした構造の打開に動き出したことで、「もう1回、政権交代を目指せる党を作り上げていく」と表明。来週告示される衆院補欠選挙を皮切りに、参院選挙、衆院選挙で結果を出して行くとして、埼玉県第4区の吉田総支部長の取り組みに期待を寄せた。

吉田芳朝・埼玉県第4区総支部長

吉田芳朝・埼玉県第4区総支部長

 民主党の推薦を得て県議会議員としてこれまで歩んできたと自己紹介した吉田総支部長は、「自民党に代わりうる、しっかりとした政治グループを作りたいという思いで日々取り組んでいる」と表明。党派を超えた結束のもとで衆院選挙での勝利を目指していく考えを表明した。意見交換には子育て中の女性も参加していることなども紹介し、「民主党政権が取り組んだ子ども手当がなくなって残念だったという声も聞く」などと述べ、国民にとって求められる政治の実現を目指していく考えを語った。

連合埼玉役員と意見交換

■連合埼玉役員と意見交換

 岡田代表は冒頭のあいさつで、維新の党との結党について「政権交代可能な政治を作って行くために、1歩前に進むということで理解してほしい」と求めた。新しい顔ぶれが加わったことが緊張感と刺激になり、党全体が活性化していることも紹介し、「次の総選挙はもう一度政権を争える状態へもっていく」「安倍政権の暴走を止めるためにしっかり力を尽くしていく」と述べ、各選挙区で出そろいつつある候補者への支援を要請した。

 連合埼玉の小林会長は「自民党の1党政治からの脱却を求める国民が多くいる。その受け皿を作ること、そして政権交代を果たす政党を目指すということの気概の表れが新党結党だと受け止めている」と述べ、連合としての支援を表明した。一方で、新党結成に関する国民への浸透はまだ不十分だとして、注力してほしいと指摘した。そのうえで「政策を充分に練って、国民、そして働く者が支持できる党に成長してほしい」と求めた。

岡田克也代表

■菅克己・埼玉県第2区総支部長 JR川口駅前街頭演説

菅克己・埼玉県第2区総支部長

菅克己・埼玉県第2区総支部長

 菅総支部長は安倍自公政権の強行採決によって成立してしまった安保法制について、日本にとっての大きな危機だとして、「先の戦争の犠牲のもと、その教訓を踏まえて日本で確立していた立憲主義が一つの内閣によって覆されてしまった。近代国家として大きな汚点を残してしまった」と指摘した。北朝鮮の脅威などの前に安全保障体制の改善の必要性は実感するが、日本がこれまで経済活動を活発に行うことができたのは専守防衛をうたう憲法があったからこそだとの認識を示し、「専守防衛を守り抜くために国政に臨む」と力を込め、数を握ってしまえば丁寧な議論もなく、まさに数の横暴ですべてを強引に決めてしまう安倍政権の1強政治を打破するために力を尽くすと訴えた。

川口駅前でマイクを握る岡田代表

川口駅前でマイクを握る岡田代表

 続いてマイクを握った岡田代表は「政権交代可能な政党となるべく民進党として歩み始めた。安倍政権の暴走を止めるため、私たち民進党に力を貸してほしい」と、詰めかけた聴衆に呼びかけた。「私は二つの大きな危機感をもっている。このまま安倍政治の暴走を許すわけにはいかない」と力を込め、(1)参院で3分の2を確保して憲法9条を改正し集団的自衛権を限定条件なしに行える国にしていくことを安倍政権が目指しているという危機(2)アベノミクスは日本経済に景気回復をもたらすどころかリスクの拡大をもたらしつつある危機――の2つがあると指摘。この危機を打開するためにも参院選で自民党の多数を許してはいけないと聴衆に呼びかけ、民主党への支持を求めた。

大野元裕参院議員(左)と山川3区支部長への支援を訴える岡田代表

大野元裕参院議員(左)と山川3区支部長への支援を訴える岡田代表

■山川百合子・埼玉県第3区総支部長 新越谷駅前街頭演説

 岡田克也代表は夕方から、越谷市の新越谷駅前で衆院埼玉3区総支部長に就任した山川百合子・埼玉県議会議員とともに街頭演説を行った。県選出で今年改選を迎える大野元裕参院議員もマイクを握った。駅前には約200人の聴衆が足を止め、約1時間の演説に熱心に聞き入った。

山川百合子・埼玉県第3区総支部長

山川百合子・埼玉県第3区総支部長

 山川支部長は、「長年この選挙区で皆さんの代表として活躍した細川律夫元厚生労働大臣のあとを引き継いだ。この重みをしっかりと受け止めて頑張っていきたい」と自己紹介。草加市選出の4期目の県議会議員である山川氏は、「より迅速にスピード感を持って政治改革を行っていくためにはやはり国の政治に携わることがより近道だと考え、決意した。女性の立場から見えてくるさまざまな生活の課題に、女性の目線で携わることは、女性のためだけではなく、社会全体を弱者に優しくできるとの信念で取り組んでいる。新しい民進党の、国民とともに進むという立場は、一人一人誰もが幸せな社会を目指す、私自身の信念とも合致している」と述べ、協力と支援を呼びかけた。

 この日の街頭演説は「街頭対話集会」と銘打って、待機児童問題や地域の介護、消費税増税、安保法制、憲法などのテーマについて、岡田代表と山川支部長がリレー形式で語りながら進められた。

 岡田代表は最後にまとめとして、「今は時代の分岐点だ。憲法の平和主義をかえるのか、しっかり守っていくのか。もうひとつ、私たちの生活と経済を、経済を大きくすればそのうち良くなるさという新自由主義的な政策でいくのか、格差を小さくして再分配してみんなが豊かになる道を選ぶのか。そのことが今問われている、大きな分かれ道だ。いったん一方の道を選べばもう後戻りできない。そのことを皆さんもよく考えて欲しい」と語り、「民進党はまだスタートしたばかりだが、自民党とは違う、そういったはっきりとした選択肢を掲げて、国民の立場に立った政治を実現するためにしっかり頑張っていく」と決意を示し、大野参院議員と山川支部長への支援を重ねて訴えた。