「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」が14日に衆院で審議入りし、本会議での石破大臣の趣旨説明に対して民進党から福田昭夫議員が登壇し質疑を行った。

 福田議員は石破大臣に対して(1)国家戦略特区の位置づけについて=政府は世界銀行のビジネス環境ランキングで日本が2014年の先進国中19位から2020年までに3位以内に入るという目標を設定したが、16年の同ランキングで先進国中24位に後退し、成長戦略は進んでおらず、国家戦略特区は方向性を見失っているのではないか(2)国家戦略特区の他に、02年制定の構造改革特区、11年制定の総合特区という2つの制度があるが、3つの制度をうまく活用するのか、大胆に特区制度そのものを整理していく必要があるのか(3)国家戦略特区の区域の評価書について=区域の評価書は内閣総理大臣に提出し、速やかに公表され、相対的かつ客観的に比較が可能なように整理されることとしているが、どこで公開され、地域による効果・検証はどのように比較整理されているのか(4)テレビでの服薬指導について=どのようなニーズに対応するのか、身近に薬局がある都市部でも指定になるのか、対面での指導に比べて患者の様子を把握しづらいのではないか――と質問。

 テレビでの服薬指導について石破大臣は、薬剤師が患者の様子を把握しづらいのではないかという質問に対して「映像、音声の性能を確実に(患者の様子を)理解できるものにする、テレビを活用できるか個別に確認する、患者の状況を記録・保存して事後的検証の対象とすることで薬剤師により慎重な対象を促すことで解決をはかる」と答弁した。

 石井国土交通大臣に対しては(5)市町村やNPO法人等が実施主体となり自家用車による有償運送を認める制度の対象を外国人観光客等に拡大することについて=過疎地等でどの程度の輸送需要があると考えているか、観光客とそれ以外の者を区別することは困難であり、全ての一般旅客が対象となるのではないか、大都市の特区で実施する場合、「白タク」行為とも見られかねないのではないか――と質問をした。石井大臣は、「大都市は想定しておらず、非営利団体のみが運営するため民間企業は想定していない。そのため、いわゆる白タクにも当たらない」と答弁した。

 岩城法務大臣に対しては(6)クールジャパン外国人人材の受入れ検討について=すでに高度人材外国人の受け入れを促進するため行われている、高度人材外国人に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずる高度人材ポイント制は現行制度では不十分なのか、「クールジャパン」の定義があいまいであり、対象業務の制限がなくなってしまい、単純労働に従事する外国人を受け入れてしまう恐れはないのか――と質問。岩城法務大臣は「単純労働力につながるとは考えていない」と答弁した。

 森山農林水産大臣に対しては(7)企業による農地所有の特例について=農業への参入は農地に100%出資していなくてもリース方式でも可能だが、なぜ農地を所有していなければ、事業拡大や資金調達できないのか――と質問した。森山農水大臣は「企業が農業から撤退、産業廃棄物の廃棄の懸念がある」と答弁した。

 福田議員は、東京証券取引所が2015年度に外国人投資家が日本株を5兆1025億円売り越したと発表したことを取り上げ、この売り越し額が世界同時株安に陥ったブラックマンデーのあった1987年度に次ぐ過去2番目の額であることに触れ、「アベノミクスは日本を破壊する」と厳しく指摘して質疑を締めくくった。