衆院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会で18日、質問に立った大西健介議員は冒頭、「今回の熊本地震で亡くなられた方にあらためてご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆さまに心よりお見舞いを申し上げたい」と表明。「週末地元を回っていても地震への対応を優先させてほしいという声をたくさんいただいた。活発な余震が続き、南阿蘇村では今も10人の行方不明者の懸命な搜索が続いている。熊本県内だけで約11万人が避難し、交通インフラの寸断や断水、物資不足の深刻化するなか、なぜ今この委員会審議を行わなければいけないのか。地震対応を優先すべきではないのか」と述べ、「ぜひ進めてくれ」と審議再開を主張したという安倍総理の対応を問題視した。

大西議員の質問風景

 そのうえで、安倍総理が15日、全避難者を屋内に避難させるよう自治体に求める方針を出したことに対し、熊本県の蒲島郁夫知事が松本内閣府副大臣との会談で「避難所が足りなくて屋外に出ているわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないのだ。現場の気持ちが分かっていない」と反発したとの報道に言及。安倍総理は、15日夜半から天候が崩れ16日には100ミリ程度の雨や強風が予測されるなか、当然の対応だったと強弁したが、大西議員は「雨や風の予報があったことは一定程度理解できるが、官邸ではなく地元、現場で判断すること」だと指摘した。河野内閣府特命担当大臣(防災担当)は、「蒲島知事からは特にこの件について発言もないし、松本副大臣からも聞いていない」とする一方、大西議員が「報道は誤報ということか」と尋ねると「分からない」と言葉を濁した。

 大西議員はまた、全国社会福祉協議会が現在、安全性の確保等の観点から自粛を呼びかけているボランティアの活動や支援物資の提供などについて、現地の受け入れが可能となった際には多くの皆さんに周知される形で情報を提供してほしいと要請。今回の地震により自動車部品など多くの工場が被災して操業を停止していることを受け、工業生産への影響についても尋ねた。

 これ対し林経済産業大臣は、「自動車会社への影響のみならず、取引先であるその他の部品メーカーを含めたサプライチェーン全体に影響が及ぶ問題だと認識している」「丁寧に状況を聴取しつつ今後の対応を考えたい」などと答弁。大西議員は「企業は是迅速に対応しているので、政府としてしっかりバックアップしてほしい」と求めるとともに、自動車産業以外についても状況把握に努めるよう要請した。

 大西議員は、基幹水利施設や防災拠点施設の耐震化の遅れやネット上でのヘイトスピーチに関連するデマについても取り上げ、しっかりとした対応をと求めた。