民進党は22日、共産、社民、生活と4党共同で、畜産農家の経営体質強化に関する法案(畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案)を提出した。

 同法案は、畜産業を振興するため、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)及び養豚経営安定対策事業(豚マルキン)を法制化するもの。具体的には、肉用牛・肉豚の標準的な販売価格が標準的な生産費を下回った場合に、(独)農畜産業振興機構がその差額を補てんするための交付金を交付。あわせて、旧来の買入れ・保管・売り渡しによる市場介入・需給操作を行う牛肉・豚肉の価格安定制度(近年発動実績なし)を廃止する。

 TPP対策として政府が提出している関連法案でも同様の交付等の措置を盛り込んでいるが、政府案ではその発効が「TPP協定が日本国において効力を生ずる日」となっているのに対し、飼料や子牛価格の高騰が続く中で畜産振興は急務であり、数年先では生産者の下支えに不十分であることから、野党案では施行日を「公布の日から施行」とした。

法案提出後記者会見

 提出後開いた記者会見では、提出者を代表して玉木雄一郎衆院議員が、「畜産農家は安定した経営支援策の法定化を求めている。TPP関連法案11本を束ねることで全体として成立しないということになれば畜産農家のためにならないし、仮に法律が成立しても、施行がTPP協定発効の後になってしまうのでは、農家がメリットを受けるのは数年先になってしまう。そこで対策の部分を切り出して『公布即施行』として、いち早くメリットを届けられるよう、野党共同の対案として提出した」と趣旨を説明した。

 衆院TPP特別委員会の筆頭理事を務める近藤洋介議員は「飼料や子牛価格の高騰で畜産農家は大変厳しい状況にある。与党に理解を求めて、この部分は早期に成立させたい。与野党で歩み寄れる形で成立を図りたい」と決意を述べた。

PDF「畜産農家の経営体質強化に関する法案要綱」畜産農家の経営体質強化に関する法案要綱

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PDF「畜産農家の経営体質強化に関する法案新旧対照表」畜産農家の経営体質強化に関する法案新旧対照表

PDF「畜産農家の経営体質強化に関する法案の概念図」畜産農家の経営体質強化に関する法案の概念図