直嶋正行議員(党常任顧問)は27日、参院本会議で「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」の提案理由説明に対する質疑を行った。

 同法案は同法案は、これまで原子力事業者自らが外部に積み立ててきた使用済み燃料の再処理等の資金について、電気事業の小売全面自由化に伴って原子力事業者の経営状況が悪化し、必要な資金を安定的に確保できなくなることがないように、再処理等に必要な資金を新設する認可法人に拠出することを義務付けることが主な内容。直嶋議員は、(1)核燃料サイクル全般(2)法案と原子力事業の関係性(3)海外プルトニウムの扱い(4)プルトニウムバランス(5)直接処分の検討(6)高レベル放射性廃棄物の総量管理(7)認可法人と青森県との関係(8)「もんじゅ」の活用(9)核セキュリティ・サミットでの総理大臣の発言――などについて質問をした。

 この中で直嶋議員は、わが国が核燃料サイクルを構想してから半世紀以上が経っていながら、いまだにサイクルのどの部分も動いていないこと、1997年を予定していた六ケ所再処理工場の竣工は約20年遅れの2018年度上期となっており、建設費用も当初見込みの約3倍の2.2兆円に達していることを指摘した。そのうえで、将来MOX燃料を再処理すると、現在とは別の施設が必要なこと、さらに高速炉を商業ベースで活用すれば、そのための燃料加工施設・再処理施設も必要となり、核燃料サイクルの輪は政府の言うように一つではなく、複数の輪がなければサイクルは成立しないと批判を展開した。

直嶋議員が質問

 続けて直嶋議員は、プルトニウムバランスについても政府を批判。政府が利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を掲げている一方で、現状ではプルトニウムは増え続ける一方であると指摘した。すでに再処理されて取り出された国内外のプルトニウム総量は、47.8トンに上り、六ケ所再処理工場の稼働後、使用済燃料を全量再処理すれば総量では200トンを超えることが見込まれ、実際のプルトニウム消費量を考えると、すべてを消費するまでに100年を要する可能性があると述べた。これは、原子炉等規制法が原発の運転期間を原則40年と定めているのに加えて、政府が原発依存度を低減させていくと表明している方針とつじつまがあっていないと指摘した。

 最後に、直嶋議員は、本法案は再処理にかかる費用を確実に担保するという面では有効であると述べたうえで、日本の核燃料サイクルに対する根本的な疑念を払拭するものではないと断じた。政府が訴えてきた原子力の重要性については福島事故以降、国民の意見は割れたままであることを指摘したうえで、「政府は、放射性廃棄物処分を含めた原子力政策にかかるすべての絵を描き、国民に提示し、そのうえで国民の意見を聞く謙虚さを持つべき」と原子力政策すべての絵を国民に示す重要性を訴え、「これまで通りのやり方で原子力政策を維持しようとする政府の強引な姿勢が、国民との距離をますます離し、最終処分場の選定をどんどん難しくしていることを自覚すべき」と政府の姿勢を批判した。そのうえで「民進党は、2030年代に原発稼働をゼロにする方針を堅持し、国民との相互理解のもと、この国の原子力政策の課題解決に向け、全力で取り組んでいくことをお約束する」と述べて質疑を締めくくった。