参院本会議で17日夕、熊本地震からの復旧・復興を進めるための2016年度補正予算の採決が行われ、全会一致で可決・成立した。

 採決に先立ち、民進党・新緑風会を代表して藤本祐司議員が賛成の立場で討論を行った。藤本議員は冒頭、熊本地震の犠牲者への哀悼と被災者へのお見舞いを述べた。

 そのうえで、最初の発災から1カ月が経過するなか、今なお約1万人が避難生活を強いられ、地震への不安から車の中で寝泊りをしている人が大勢いるとして、政府に対し「一分一秒でも早く住まいの問題に対する展望と具体的施策、心のケアの問題に全力で取り組んでもらいたい」と要請。

 また、農業、製造業、観光業といった地域の産業振興面の課題のなかでも特に観光業を取り上げ、「宣伝PRにはタイミングが肝心だが、今回九州全域に対するキャンセルが相次いだという事実を考えると風評被害を抑えることには一定の効果はある」「被災した観光地に対し今やるべき支援策は、余震が収まって観光客が戻ってきたときに十分なサービスが提供できるよう、従業員の雇用を守ることだ」と強調。現時点で観光客が来ないために営業収入が上がらず、従業員を解雇せざるを得ない状況にならないよう、雇用調整助成金等の拡大を検討するよう求めた。

 余震が続いている今回の地震の特徴を考慮すると、今後第2次補正予算が必要となることも想定し、2015年度補正予算や2016年度予算等の未執行分の歳出項目を見直す勇気と決断が必要だとも指摘。政府が、参院選挙前に低年金高齢者1100万人を対象に1人3万円を配るとしていたことに対し、高齢者からは「それより熊本地震の対応に回して欲しい」という声も上がっていると述べ、かつて民主党政権では東日本大震災対策の財源を捻出する際に「子ども手当」や「高速道路の無料化の社会実験」などの政策を圧縮したことに触れ、復旧や復興を優先し、不要不急の予算の見直しは当然だとした。

 藤本議員は最後に、「民主政治の基本は『参加と公開と納得』ではないかと考える」「まず国民の参加。私たちは、予算の使い道を政府に白紙委任したわけではない。政府の都合や思い込みとお仕着せではなく、被災地の方々の本音を反映した住民参加の予算にしてもらいたい」「予算の使い道が決まり次第、順次明らかにし、早急に予算の全体像と詳細を国民に示すべきだ」などと求め、質問を終えた。