岡田克也代表は21日、参院選公示を翌日に控えて、日本記者クラブ主催の党首討論会に出席した。討論は、第1部が各党の主張と討論、第2部が4人の記者クラブ企画委員からの指名質問に答える形式で進められた。

ボードを掲げる岡田代表

ボードを掲げる岡田代表

 各党の主張で岡田代表は、一番大事にしていることとして「憲法の平和主義 分配と成長の両立」とボードに記し、「日本は時代の大きな分岐点にあると思う。ここで道を誤れば二度と後戻りはできないかもしれない。一つは憲法の平和主義が変えられようとしている。昨年の安全保障の議論。憲法の9条が変えられる。これをどうしても認めるわけにはいかない。もう一つは経済政策が行き詰っている。安心して生活できない。そのために私たちは分配と成長の両立の経済政策を訴えている。人に対する投資や所得の再分配、働き方の大改革などをしっかり実現していく中で、持続的な経済成長が初めて可能になる。単に景気や財政で膨らますだけのやり方では限界があるということをはっきり認識し、経済政策を転換することが必要だ」と訴えた。

 党首同士の討論で岡田代表は、安倍総理に対し、「参院選で憲法改正は論点でないとおっしゃっているが、非常におかしな話だと思う。総理は年頭会見でも参院選でしっかりと憲法改正について訴えていく、国民的な議論を深めていきたいと言われた。しっかりと参院選で憲法について議論をすべきだと思う。特に私が先般の(国会での)党首討論の中で疑問に思ったのは、『平和主義は何か』と聞いた時の答え。『侵略戦争をしないこと』と答えたことに非常に驚いた。平和主義は単に侵略戦争をしないだけでなくて、より踏み込んだ積極的な意味があると考えている。ここを踏まえて国民と議論したいが総理の考えは」と質問した。これに対して安倍総裁は「憲法を争点としていないとは言っていない。自民党は結党以来憲法改正を掲げてきた。谷垣執行部のもと改正案を示した。しかし条文をどのように変えていくかは選挙でなく、国民投票。これが普通の法律とは違う点。大切なことは憲法審査会において逐条的な議論を冷静に行い集約していく、それを国民に問うべき」などと弁解した。

 公明党の山口代表は「32の1人区で野党候補を擁立しながら、岡田さんは理念政策に違いがあり共産党と政権は組めないと言う一方で、野党連立政権について今は全く考えていないが、未来永劫ないということにはならない、将来的には分からないという趣旨のことを述べている。いったいどちらなのか」などと質問。これに対して岡田代表は「公明党も野党だった時代に、ある日自民党と自自公政権を組んだ。本当に驚いた。そういうことは絶対してはいけない有権者に対する裏切りだ。共産党と連立政権を組むこととは理念政策が違うので無理だが、将来、理念政策が違わないなら、何年先か何十年先か分からないが、そのことまで否定するのは無理だという意味だ」と切り返した。

 安倍総理は「民進党は香川県で候補を降ろして共産党系の候補を支持している。共産党は多くの候補を降ろした。つまりいつかは国民連合政府をつくっていくということでなければ意味がないだろう。こういう政治をつくっていくということを参院選の前に明らかにする責任がある」とコメント。岡田代表は「総理なのだから変なレッテル貼りはやめた方がいい。恥ずかしい。政策理念が一致していないから連合政府は作れないと明確に説明している」と切り返した。

 岡田代表は安倍総理に対して、自民党が選挙公約でうたっている「大胆な経済政策」について「まさか公共事業や高齢者への3万円給付など補正予算でやっているばらまきのことか。われわれは社会保障の充実などすでに約束していることをしっかりやることが経済対策だと考えている」と述べ、経済対策の規模、中身、財源を明らかにするよう求めた。安倍総理は「今言えといわれても、税収の見積もりがない中で言うのは不見識、無責任だ。確定した段階で示して補正予算を編成していきたい」などと答えるにとどまった。

 第2部では記者クラブの企画委員から岡田代表に対して日銀による国債の大量買い入れ、憲法改正、安保法制廃止などについて質問があった。

 最後に、18歳からの選挙権が施行されたことを踏まえて、「18歳、19歳に何を期待するか」という質問が各党代表にあり、岡田代表は「若い皆さんが有権者になるということは主役になるということ。当然責任も伴うが、将来の絵を描くのは自分たちだという自覚をもって政治に参加していただきたいと思う」と若い有権者にメッセージを送った。