岡田克也代表は25日昼、遊説先の大分県杵築市内で記者団の取材に応じた。

 参院選挙での大分県選挙区の位置づけについて、「大分県は間違いなく激戦区。しかも(候補者は)現職で私としても親しい足立(信也)さんですから、しっかり応援したい。最後は国民の良識の勝利につながると思っている」と述べた。

 足立候補が野党統一候補として戦っていることについては、「この選挙でお互い政策合意をし足立さんに一本化して戦っている。32の1人区で候補者の一本化ができており、しっかり結果を出していきたい」と力を込めた。

 英国のEU離脱をめぐり麻生財務大臣が24日、「日本のファンダメンタルズが悪くなっている」との旨発言したことへの受け止めおよび岡田代表が考える今後の日本経済の展望を問われると、「ファンダメンタルズがどうかということと離脱の問題は分けて考えた方がいいと思う。ただ、今回のことで株が大幅に下がったり円高になったりということで、特に円高の傾向はある程度続くことが予想される。今の話というより2カ月、3カ月先を見たときに、円高を止められないということになると日本経済にいろいろな影響が出てくることは間違いない」と指摘。リーマンショックの際に、当時の与謝野経済財政担当大臣が「ハチが刺した程度」と発言したことにも触れ、「あまり楽観的なことは言わない方がいいと思う。後からみると日本が一番影響を受けたわけであり、しっかりと対応をしなければならない」と述べた。

 こうした現状を解決するためにどのような経済政策が必要になると考えるかとの問いには、「もともと今回のことがなくても1月から変調をきたしている。円高傾向になり、株も不安定になった。それに拍車をかけることになるのではないかと心配していた。われわれ民主党政権のときに欧州の経済危機があり大変な事態だったが、あの時に比べるとアメリカの経済はまだましだと思うので、そういう意味で一方的に円高になるかどうかはいろいろな議論が残っていると思う。為替介入などいろいろな形で調整していくにしても限界があるということを私たちは学んでいる。安倍さんはアベノミクスの成果として円安になったと言っていたが、一国の金融政策だけで為替の水準は確実にコントロールできるわけではないというのは常識であり、円高をどう乗り越えていくか、あるいは円高をある程度前提にしたうえでどうしていくかということが必要になってくる」と述べた。

 今回の株価の大幅な下落を受け、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する国民の年金資産について、「株が上がっている局面でGPIFが株の割合を倍にすると、当面の利益は上がるがリスクは非常に大きい。われわれは、年金基金のような安定的、長期的に利益を上げていく必要があるものにはなじまないのではないかと指摘してきたが、(安倍政権は)それを振り切って、国会で反対の議論にまともに答えることもせずGPIFの株式比率を倍にした。そのデメリットが明らかになった。すでに昨年度で5兆円程度の赤字があるのではないかと言われている。本来であれば7月の初めにその結果を出さなければいけないものを、わざわざ参院選挙後に送ってごまかしているが、その数倍の損が出る可能性が高まっている」と懸念を表明。「(運用比率を)元に戻すべきだ。そうでなければ塩崎厚生労働大臣も認めたように、どこかで年金をカットしなければいけなくなる。ギャンブルのように株式につぎ込んで年金をカットということでは国民はとても納得できない」と述べた。

 政府が秋にも大型の財政出動をする可能性があることには、一定程度の財政出動の必要性は認める一方、「こういう状況のなかでどういう中身にするのか。従来型の公共事業でどんといくのか、そうではなく国民の生活を安定させるようなことに充てるのか。私たちが主張している消費税10%を前提にした社会保障の充実、例えば低年金者に対する給付金、最高年額6万円や低所得者に対する介護保険料の軽減策などは約束通りにやることが、景気対策の中身として必要だと申し上げている。どんどん無駄な公共事業を行いあとで借金の山が残る、使えないものがたくさんできるという愚は繰り返してはいけない」と述べた。