民進党の岡田克也代表は7月1日、東京都内にある日本外国特派員協会で記者会見を開いた。冒頭、参院選で通常行われるテレビ各局による党首討論が自民党の要請で開かれなくなったため、自民党の安倍総裁に党首討論を求めたが、断られたことを明らかにした。それで「参議院選挙の重要争点に関する公開質問状」を送り、回答を求めたが、それも拒否してきたと報告。この自民党側の対応について「有権者に対する説明という意味で異常だ。選挙戦が終盤になり、論点が明確になった段階で有権者は党首討論を求めている」と指摘し、説明責任に消極的な自民党の姿勢を強く批判した。

質問に答える岡田代表

質問に答える岡田代表

 参院選の争点である憲法問題と経済・生活の問題についての見解も示した。「安倍総理には、参院選で3分の2の議席を取って憲法改正をしたいという強い気持ちがあることは疑いようがない」と指摘。5月の党首討論で安倍総理が憲法の平和主義について「侵略戦争しないことだ」と答弁したことを取り上げ、これは「専守防衛」「海外で武力行使しない」という従来の考えと異なると批判した。民進党の憲法観について「自国が攻撃を受けた時にそれを排除するために武力行使はするが、自国と関係のない(紛争で)武力行使はしないというのが憲法の根幹であり、これは断固として守らなければならない」と力説した。

 民進党の経済政策については「経済成長が重要だという認識は共通だが、1人が安心できる社会をどうやって作っていくかを忘れてはならない」。そのためには「人への投資が極めて重要だと考える。安心して生活ができる。将来に対する不安が少ない。そういうことが実現していく中で、人々は安心してお金を使う」「人への投資、格差の是正、所得の再配分といった政策が成長戦略と対になってはじめて持続的な成長が可能になる」との考えを示した。 

質問する外国特派員

質問する外国特派員

 記者団から民主党政権時に国有化した尖閣諸島について民進党党首としてどのように認識しているかを問われ、「尖閣問題は誤解されているかもしれない。民主党政権が国有化を決めた。それは当時、石原都知事が都が尖閣を買い、そこに様々な施設を作ると主張し、自民党総裁選で安倍さんも同様の主張していた。そういう事態を防ぎ、現状を固定するために国が持つべきだとわれわれは判断した」と国有化に至る背景を説明した。

 また、GPIFによる年金積立金の株式運用比率の引き上げについて問われ、「GPIFの株式の運用割合は倍になっている。リスクの高い株式に運用することは問題だと指摘し続けてきたが、われわれが心配した通りの状況になりつつある。これは将来の年金の減額につながりかねない深刻な問題である。もう一つ気になるのは、株式市場におけるGPIFの存在の大きさである。結局、国家が株式市場に影響を及ぼしうるという状況は、自由な市場経済という観点からも望ましくない」と述べた。