枝野幸男幹事長は21日、党福島県連から福島第1原子力発電所に関する対応について要望を受けた。

 福島第1原発を巡っては、(1)選挙期間中に東京電力の第三者委員会が、事故当時にあたかも官邸側の意向で「炉心溶融」という言葉を使わせなかったかのような、事実とは異なる報告書を発表(2)国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が13日に公表した「技術戦略プラン」で、廃炉について核燃料を取り出さずに原子炉ごとコンクリートで覆う「石棺方式」に言及(3)東京電力はこれまで「凍土遮水壁」(1~4号機の周囲を完全に凍結させ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生を減らすために1~4号機周辺の地中を凍結)について100%凍結させる考えを示していたが、19日に突如として「完全凍結は困難」との見解を表明――など、選挙期間中には民進党への選挙妨害に等しい対応が、選挙後は福島県民への裏切りともいえるような対応が相次いでいる。

 党県連幹事長の亀岡義尚県議はこうした東京電力や国のやり方に強い懸念を示し、「選挙の最中や直後に報道され、大変な影響が出ている。党本部としてきっちりした対応を」と求めた。

 枝野幹事長は、参院選で同県選挙区の増子輝彦候補が現職大臣との激戦を制した福島県連の奮闘を労った上で、東電の第三者委員会の報告については、「東電や第三者と称する源吾氏の答えはあまりにも不誠実」だとして、党の顧問弁護団で次なる対応を協議中であることを報告し、あわせて「国会の事故調査委員会をもう一度作って事実関係を明らかにしていくことは、われわれの名誉の問題だけではなくて、まさに実際に被害に遭われている皆さんの心情や、こうしたことを再発させないということからも不可欠なことだと思っている」と述べ、国会の内外で真相究明に向けた努力をしていく考えを表明した。

 また、「石棺」に関する報道については「さすがに撤回したようだが、あんな話が突如として出てくること自体が遺憾な状況」、凍土壁については、この間も各方面から疑問が出される中で強硬な姿勢を取り続けてきたことを踏まえ、「あまりにも不誠実」として党として国会等で対応していく考えを示し、こうした福島第1原発の問題については「われわれがいちばん責任を持って対応していかなければならないと思っているので、しっかりやらせていただきたい」と述べ、福島県内からの情報や県民の声をこれからも届けてほしいと依頼した。

右から枝野幹事長、亀岡福島県連幹事長、高橋同政務調査会長、佐藤同事務局長

右から枝野幹事長、亀岡福島県連幹事長、高橋同政務調査会長、佐藤同事務局長