民進党は29日、「年金損失『5兆円』追及チーム」を開き、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と厚生労働省から2015年度の年金積立金の運用実績について説明を聞くとともに、国家公務員共済(以下、国共済)の運用実績についても国家公務員共済組合連合会と財務省から説明を聞いた。

 GPIFが公表した2015年度の厚生年金・国民年金積立金の運用実績は、5兆3098億円の赤字(収益率-3.81)だった。一方、国家公務員共済では、被用者年金一元化後の2015年下半期分について見ると、248億円の黒字(収益率0.37%)となっている。

 同チーム座長の初鹿明博衆院議員は「われわれの指摘とほぼ変わらない結果。やはり参院選前に公表する必要があったのでは」と、あらためて政府の対応に疑問を投げかけた。

 長妻代表代行は「ビックリしたのは国家公務員共済ではプラス、ということ。公務員の年金は損が少なくなるように安全第1で運用されていると実感した。国民の皆さんの年金を株価維持のために投資するような形でリスクにさらすことは止めていただきたい」と語気を強めた。

 山井和則衆院議員も「今日まで5.3兆円の損失を隠してきたことに強く抗議をしたい。さらに国民の年金は損失しているのに、国家公務員はプラスというのはおかしい。この結果は、株安のせいではなく、アベノミクスと称して株式運用比率を倍増して国債比率を下げたからだ。その証拠に国家公務員がプラスになった。ここは非常に重要だ」と指摘した。

 この点について同チームは、両者の資産構成割合のかい離率の違いに着目。両者の基本ポートフォリオはいずれも「国内債券35%」と共通しているが、そのかい離許容率はGPIFでは、±10%であるのに対し、国共済では±30%とされている。それのため、実際の国内債券の資産構成比を見ると、GPIFでは概ね37~39%であるのに対し、国共済では62%となっている。昨年度の運用実績を資産ごとに見ると、国内債券ではプラスになったが、その他の3資産(外国債券、国内株式、外国株式)ではマイナスになっているため、国内債券の構成比の多い国共済のほうが、より堅実な運用結果となったことが分かる。

 同チームでは、こうした運用のあり方について引き続き追及していくことにしている。

GPIFの「業務概況書」

http://www.gpif.go.jp/topics/2016/pdf/0729_kaiken_siryou.pdf

国家公務員共済組合連合会の「業務概況書」

http://www.kkr.or.jp/shikin/h27_4q_k.pdf