GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が26日、4~6月の年金積立金運用実績を発表したことを受け、民進党は同日夕、「年金損失『5兆円』追及チーム」の会合を国会内で開いて厚生労働省やGPIFなどから説明を聞いた。
GPIF担当者の説明によれば、4~6月期の運用実績は5兆2342億円の赤字となり、2期連続赤字となった。イギリスのEUからの離脱決定などで加速した円高・株安の影響が響いた格好だ。
長妻昭代表代行は冒頭のあいさつで「ポートフォリオを変更してから赤字となったことが正式に今日判明した。(年金保険料は)国民の皆さんのお金なので、よくよく説明責任を果たしていただきたい」と、明確な情報開示を求めた。
初鹿明博・同チーム座長は、「4~6月期の運用実績が出て、5兆円を超える損失ということで、ポートフォリオの変更が適切だったのかどうかを検証しないといけない。安倍政権の政策の方向が正しいのかということにも関わる問題なので、安倍政権が進めている政策によって国民の皆さんが預けている年金が損なわれることがないように監視をしていきたい」と語った。
山井和則衆院議員は、GPIFが7月29日に公表した2015年度の厚生年金・国民年金積立金の運用実績が5兆3098億円の赤字であったことも踏まえ、「1年3カ月で10兆円を超える国民の大切な年金が失われてしまったことになる。非常に由々しき問題。単に株が下がったからではなく、アベノミクスと称して一昨年10月に年金積立金の株式への運用比率を倍増したことが大きな原因となって10兆円を超える年金が失われた。さらに、そのことによって1昨年の10月以降通算で運用損益が初めてマイナスになってしまった。これはつまり株式運用比率を倍増したことが失敗だったのではないか。大切な年金が犠牲になっているのではないかという危機感を感じる」と語った。
「ポートフォリオを変えなかった場合の昨年度の損益」に関して示すよう山井議員が求めたのに対し、GPIF担当者は「ポートフォリオは基本的に長期的な観点から作成され、25年間の運用を想定して作成したものであり、長期的な観点から評価していただきたい」「ただちに年金受給に支障を与えるものではない」などと弁解。ポートフォリオを変えなかった場合の試算は行っていないと述べたが、14年10月に運用比率を見直し、資産構成に占める株式の比率を24%から50%へ2倍に増やして以降、累積では1兆962億円のマイナスとなったと説明した。
長妻代表代行は「ポートフォリオを変えなかった場合の損益がいくらだったかについて、われわれが政権をもっていたら間違いなく出した。検証を行わないのは国民軽視だ」としてデータの提出を強く求めるとともに、「経済の失速も懸念されるなかで、年金積立金で株価を買い支えたのではないか」と指摘し、引き続き追及していく考えを表明した。