枝野幸男幹事長は29日午後、映画「シン・ゴジラ」を都内の映画館で鑑賞し、記者団から感想を求められた。

 「東京の街そのものが実際に壊されていくかのような映像のリアルさがある。あまり細かいことは言わない方がいいが、官邸の中のいろいろな部屋の造りなど、全く一緒ではないが実際のものと近かった。私も取材を受けたが、いろいろな意味で非常に研究をされていて、良い作品だなとかなり引き込まれながら観た」と枝野幹事長は感想を語った。

 制作に当たって取材を受け協力した枝野幹事長から見て、「どの点が自身の意見が一番反映されていると思ったか」との問いには、「どう反映されたかはむしろ脚本を書いた方や監督などに聞いていただいた方がいいが、危機管理のときに政治家や役所の幹部が論理的な面でどういう動きをするかとか、どういう形で会議の段取りが進んでいくかとか、そうしたことはかなり参考にされている部分があるように思う」と述べた。

 危機管理対応に関して、映画の中で自衛隊によるゴジラへの攻撃の直前に、周囲に人がいることが確認されたために中止命令が下されたことについて、枝野幹事長が東日本大震災当時に「病院の停電対策が不充分」との観点から東京電力の計画停電開始を延期させた点と重なるとの指摘には、「危機管理のときに全ての環境を整えないと前に進めないということでは対応が遅れてかえって被害を拡大させる。一方で人命や安全に関わることについて目をつぶることはなかなかできない。こうした点は映画だけではなく、大震災のときも計画停電をはじめとしてわれわれも判断や決断を迫られるという場面はあった。その時にいかに最善を尽くすのか。日本の官僚機構は、良くない部分もあるが、危機の時にはやはりいろいろ意味で最大限英知を結集して頑張ってくれる。あのときも一定の成果を上げてくれた。とにかく常に最善を尽くすことだ」などと語った。

 主人公である官房副長官が寝ないで頑張っている点に関連して、当時の自分や官僚の姿と重なるかと問われ、「本当にそれはその通り。映画では霞が関のはぐれ者を集めたチームみたいな位置づけだが、(現実は)そんなことはなく、少なくとも私の目が届く局面では、霞が関の皆さんは時の政府がどうであろうと、とにかくできる最善を尽くすということで不眠不休の活動をしていただいた。(官僚の頑張りは)映画以上だと理解していただいていい」と話した。