民進党の緒方林太郎議員は4日午後、衆院予算委員会での2016年度第2次補正予算の締めくくり総括質疑で質問に立ち、特にTPP問題で政府に迫った。

 高く見せかけていた輸入米が、実際は政府が公表している価格よりも安い価格で国内に流通していたとされるSBS米の価格偽装問題を取り上げた緒方議員は、「政府は、この問題は食糧法上は合法だとしているが、山本農水大臣は記者会見で問題があると何度も言っている。一体何が問題なのか」と質問。山本大臣は、「調整金についての商慣行について把握をしていなかった。調整金が存在するか否か、調整金がどういう目的であったか。そうしたものを正確に把握しなければ判断することは難しい。とにかく生産者に不安を与えないように考えていかなくてはならない」などと答えた。緒方議員は、「把握していなかったことが問題だったと聞こえた。実際の取引に影響があったから問題だとは思っていないのか」と重ねて質問したが満足な答弁は得られなかった。

 国内のコメの市場価格への影響について緒方議員は、「SBS米を輸入する時に、国産米とSBS米の価格では遜色ないとしている。国産米が高くても安くても、両者の価格が同じに設定されている限りはSBS米の輸入量に影響はない。それにもかかわらず、国産米の価格が高い時にSBS米が多く輸入されてくるということは、調整金が効いているということだ。この調整金が市場価格に影響しているのではないか」と指摘し、山本大臣に見解を求めたが、「調整金のことをしっかり調査している。コメの価格は品質と需給で決まる。調整金が常に市場に影響しているとは思っていない」との答えに終始した。

 緒方議員は、「大臣は、結論では価格に影響がないと答えるが、中身を聞くと調査中だという。これは結論が先に決まっていて、理屈をつけようとしているのではないか。輸入米は全部で23万8400トンになる。これは800万トンの3%にあたる。価格に影響が出る可能性はある」と厳しく指摘した。

 TPPの試算について緒方議員は、「政府から出ている『各品目の試算の考え方』というものがある。生産減少率は0%とあり、コメも麦も畜産も酪農も一切影響がないとされている。しかし2013年3月に出した試算では農産物で2兆6600億円以上の生産減少額が生じ、生産量の減少も相当なものがあるという。両方の試算にはかなりの差があるがなぜ違うのか」と問いただした。これに対して山本大臣は、「13年のものは極めて単純化した前提で試算した。今回のものはセーフガード措置や、国内対策を実施することが明らかになったため、生産減少額が少なくなった」と答えた。緒方議員は、「加工用トマトなどでは100%減少するというものが0%になる。こんなに変わっていてどちらを信じればいいのか」と指摘し、政府のおざなりとも言える試算の出し方を批判した。

PDF「緒方林太郎議員配布資料」緒方林太郎議員配布資料

SBS米価格偽装問題について追及する緒方議員

SBS米価格偽装問題について追及する緒方議員