蓮舫代表は5日、代表として初めて質問に立った参院予算委員会終了後に国会内で記者団の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。

 問 予算委員会で質問に立った手ごたえ、政権側の答弁ぶりについて。
 答 所信表明に対する代表質問とは異なって双方向だが、残念ながら前向きに答えてもらえなかった。

 問 代表質問時に消化不良感が残ったと発言していたが、今回はどうか。総理との1対1の対決で伝えたかったメッセージは。
 答 今日ですべて完結する質問ではない。これまでも総理に地方創生にこだわって聞いてきた延長線上にあったと思う。特に地方創生の交付金の使われ方、補正予算の900億円、来年度の概算予算1170億円の合わせて2000億円をこれまでのような緩い数値目標とバラマキに近いお金の使い方をするのは実にもったいないという提言をしたので、(政権側に)受け止めてもらったと理解している。

 問 代表として初めての総理との1問1答に向けてどのように準備したか。党内外からの期待に応えられたと考えるか。
 答 特段の気概をもっていない。今まで質問の時には1つのテーマで行ってきたが、今回はテーマを絞りながらも幅広く多数を入れた。結果は分からないが、次につなげる質問をすることにこだわってきた。来年度の予算案の質問に今日の指摘事項を続けていきたい。

 問 1テーマでなく幅広く質問した狙いは。
 答 1テーマだと足りないと言われ、たくさん行うとどうなのかと言われる。たくさん行ってもこれが足りないと言われる立場になったので、バランスよく選んだつもりだ。

 問 最後に「政治は今を見るべきだ」と力を込めた狙いは。
 答 「大人になってもらいたい」と思った。私は安倍政権以前の政権を取り上げて数値の比較をしたことはない。それは今政権を担っている人たちが、今を見ることが政治だと思うからだ。

 問 国会での提案型路線が始まったことについて。
 答 これまでも私は提案型で質問してきた。今回は、介護離職ゼロと、今行っている法改正や介護報酬の引き下げは真逆である。育児支援が大事と言いながら施設整備を重視してソフトへの支援がないことが待機児童の解消につながらない。我々と現政権の目指しているものが逆だということが浮き彫りになる方が、国民が選択しやすい軸を示すことになる。

 問 憲法改正について、総理が予算委での答弁を適当でないと発言したことについて。
 答 行政府の長が立法府のルールに則って行われている委員会を指定したり、ここでは発言しないなどと自分の意思を示すこと自体が驚き以外の何物でもない。

 問 家族観、チルドレンファースト、行革への思いで政権側との憲法観の違いを出そうとしたのか。
 答 行政府の長が立法府の議員の発言をさえぎったり、発言する委員会を指定したりするという小さな姿勢は、非常に残念だ。家族観は自民党と大きく違うことが浮き彫りになった。私たちは多様性、共生社会、例えば、別姓であっても事実婚は家族、同性のパートナーも家族、結婚していないけれども実の子どもと暮らすお母さんは家族だと思う。自民党の憲法観の中の家族について総理は答弁しなかったが、(民進党とは)対極にある考えだろう。国民の皆さんに1つの選択肢として、私たちの立ち位置を見てもらいたい。

 問 衆院の解散権について。
 答 総理の専権事項。念のため、私の考えを伝え、受け止められたと思う。

 問 衆院解散に関して外交問題を争点にすることに違和感があると述べたことについて。
 答 外交問題は政局にすべきでない。ロシアとの平和条約の締結は与野党を超えて民進党も積極的に支援したい。ここで意見が分かれるものではない。

 問 衆院選挙区の区割り問題が解決されないままの解散について。
 答 自民党幹部が「区割りの前の解散」と言及したことにはあきれた。最高裁の「1票の格差」判決を受け、立法府の各政党が努力して前に進め、実行しようとするものをすべて無にする。

 問 稲田防衛相が大臣就任前に「子ども手当を防衛費に充てるべき」と発言していたが、本日の答弁は違った。大臣の答弁の変遷についてどう考えるか。
 答 核保有、防衛予算、子ども手当の発言もダブルスタンダードだ。全て自分に都合のいい発言を繰り返す。これは信頼を損ねる発言だと思う。撤回すべきだと提案したが、受け入れていただけなかった。

 問 稲田防衛相に対する追及について。
 答 野党時代とはいえ、乱暴な発言を雑誌等でしている。それについて問われ、その時と今は違うと言うが、何が違うのかの説明がない。言葉のぶれ、大臣の資質は信頼にかかわるものなので、もう少し丁寧な答弁が行われると思っていた。仲間とともに引き続き追及したい。

 問 山本大臣が観光についてKPI(重要業績評価指標)の設定は困難と発言したことについて。
 答 KPI・数値目標を大切にしているか確認したところ、当初「重要視している」と答弁したが、最終的に観光について数値目標を立てるのは難しいとの答弁に変わった。難しければ事後の検証ができない。大臣の発言として一貫性がなく、バラマキになっていると指摘せざるをえない。