蓮舫代表は10日、安倍政権が進めようとしている介護報酬の大幅引き下げ等によって、介護を必要とする家族のいる現場でどんな状況になるか、介護の実態について話を聞くため、さいたま市のある家族を訪ねた。

 話を聞かせてくれたご家族は、脳梗塞(こうそく)の後遺症のため右片まひがあり屋内外車いすで生活を送り、特殊寝台とその付属品、四点杖などを使って暮らす夫と、股関節痛のため人工関節を使用し手すりを利用しながら暮らす妻との夫婦2人で生活している。夫はデイサービスを利用し、日常生活の家事全般は妻が担っている。

 夫婦は、自身が介護を受ける立場になるとは思わなかったので、家のバリアフリーもできていないため、自宅にお風呂はあっても使うことはできない。政府が2018年の介護報酬改定に向けて検討している軽度の要介護者の自己負担分引き上げによって、もし現在利用している福祉用具レンタルの自己負担が5倍、10倍になれば、「とてもではないが借りられなくなって、介護度が重症化する」などと不安な心境を話した。

 視察後に記者団の取材に応じた蓮舫代表は、「福祉用具は介護を受けている人だけではなくて、介護をしている人の負担も減らす、老老介護でお互いが重症化しないための生命線だ。ここの自己負担を高くしていくのは、財政力のない家庭は弱くなっていき、格差が広がっていくと感じた」「与党はTPPの承認を急ぐよりも、こうした実際に介護をされている方たちの話を聞き、介護離職ゼロとは真逆の方向を向いている介護保険制度見直し方針を改める議論をすべきだ」と視察の感想を述べた。

 視察には柿沢未途役員室長、武政公一衆院議員(埼玉1区総支部長)が同行した。