衆院予算委員会で11日、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、民進党の2番手として緒方林太郎議員が質問に立ち、(1)SBS米の価格偽装に関する農林水産省の調査報告書(2)安全保障関連法に基づいて「駆けつけ警護」任務が新たに追加される南スーダンの自衛隊のリスク――等の問題に関して関係大臣らに質問した。

 緒方議員はSBS米の価格偽装に関する農水省の調査について、調査結果は出てきたものの、調査に当たり調査票(対象者に対する質問項目や回答項目などを記入したフォーム)も作成しなかったうえ、面接や電話で聞き取ったメモを「個人のメモで行政文書でないので公開の対象にならない」と決定し、メモを基にまとめた資料についても「大臣の指示により黒塗りであっても公開しない」としていることを問題視した。山本農林水産大臣は「調整金なる金銭の授受について調査するもので、ヒアリングをしながら質問の仕方を工夫しながら進めたため質問票はない」「メモそのものは手書きであるので見にくい点もある」「相手方の企業情報なども多く含まれているので、生でこれを出すことについては調査という形、任意という形、相手の好意で話してもらったという形からして、このメモは行政文書としていない」などと答弁。緒方議員はこの調査が「(調整金の)やりとりの有無」「その活用」「やり取りが生じた背景・目的」を単に聞き取ったものにすぎないとして、その不十分さを疑問視するとともに、大臣の判断に基づき「公開しない」方針を定めた農水省の姿勢は「情報公開法の恣意的な運用」だと批判。「情報公開法上の『不開示事由』に当たるのであれば、その部分は黒塗りであってもいい」と求めたにもかかわらず、あくまで「公開しない」とする農水省の姿勢に疑問を呈した。

SBS米価格偽装問題をめぐる農水省の対応を問題視する緒方議員

 緒方議員は農林水産省文書管理規則第9条にある「文書主義の原則」に「職員は農林水産省における経緯も含めた意思決定における過程並びに農林水産省の事務、事業の実績を合理的に後付け、検証することができるよう」文書を作成しなければならない旨を定めている点も取り上げ、「この文書主義の原則に反する情報隠しではないか」と大臣に迫ったが、山本大臣は「非常に焦燥感にかられる気持ちは分かる」などと非礼な発言をしたうえで「調査自体は公表を前提とした調査ではない」「好意で示されたことを公表することは農林水産省規則にはない」などと、公表をあくまでしない方針を繰り返し述べた。

 緒方議員はまた、今回の調査報告書作成までの文書を開示しないうえ、TPP交渉経緯に関する文書については開示はされたものの、ほとんどが黒塗りで、内容が分からない文書だったことから、「農業に関する情報は非開示ばかり」だと憂慮し、安倍総理に情報開示を指示するよう求めたが前向きな答弁は得られなかつた。

 続いて、安全保障関連法に基づいて「駆けつけ警護」任務が新たに追加される南スーダンの自衛隊の任務に関して「リスクは増えるか」について稲田防衛大臣の認識を繰り返しただしたが、「自衛隊の任務はも常にリスクを伴うもの」「これまで同様リスクはある。リスクを否定したものではない」「駆けつけ警護についても十分なきめ細やかな準備とあらゆる面でリスク低減をはかる」などと繰り返し答弁するだけで、緒方議員の問いに正面からまったく答えなかった。

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