党幹事長代理の玉木雄一郎議員は12日、衆院予算委員会の集中審議で国民生活に大きな影響を与える可能性のある「年金カット法案」について安倍総理の見解をただした。

 玉木議員は、増え続ける高齢者の生活保護の実情について、今年3月に全生活保護受給世帯のうち高齢者世帯の割合が5割を超えたことをパネルで示し、「年金だけでは老後を支え切れない」と指摘。さらに年金と生活保護の1人当たりの平均月額について比較し「事業費ベースの生活保護の平均額が約14.1万円なのに対して、国民年金の平均支給額が約5.4万円、厚生年金が約14.8万円である。この状況で年金をカットしていくと、高齢の生活保護世帯が増えるだけになるのではないか」と現行の年金制度を問題視した。

増え続ける高齢者の生活保護

増え続ける高齢者の生活保護

年金と生活保護をふらべてみると

年金と生活保護を比べてみると

 このように年金だけでは老後を支え切れない高齢者が増えている中、安倍政権が提出した「年金カット法案」は、物価が上がっても賃金が下がれば年金も下がる制度であり、国民生活に与える影響が大きいと指摘、削減額の自らの試算を示した。「同僚の井坂議員が過去10年間に新ルールを当てはめると、5.2%年金が減ると試算した。これを財政検証を行った2014年度のモデル年金額にあてはめると、国民年金で年間約4万円、月額3300円減る。厚生年金は年間約14.2万円、月額1万1800円減る」と説明し、削減額がかなり大きくなるとの試算を明らかにした。

「新ルール」で年金が大幅に減るおそれ

「新ルール」で年金が大幅に減るおそれ

 「(新ルール適用によって)これだけ大きな減額が理論上あり得る。きちんとした政府の試算を示すべきだ。国民に増税で負担を求める場合、給付を削る場合、国民にとって辛いことをお願いする場合、きちんとこういうことになり得るということを、正直に真摯(しんし)に示していくのが政治家の姿ではないか。厚生労働大臣に試算を出すよう指導していただきたい」と安倍総理のリーダーシップ発揮を求めた。これに対して総理は、「『厚生労働大臣から何ができるか考えていきたい』という答弁があった通り。それについて聞きたいなら厚生労働大臣を呼ぶべきだ。どうして呼ばないのか」などと答弁した。

 指導力を示そうとしない総理に対して玉木議員は、「『厚労大臣に聞いたらいい』という答弁を聞いて驚いた。国民年金で4万円、厚生年金で14万円も減るという話をしているのに、『自分はよく分からないから厚労大臣に聞いてくれ』というのは、あまりに無責任だ。われわれはこういう影響があるからという対案を出している。総理、批判ばかりでなく、政府の試算の対案を出してください」と政府に説明責任を果たすよう求めた。

総理を追及する玉木雄一郎議員

総理を追及する玉木雄一郎議員