参院予算委員会で13日、内政・外交の諸問題等に関する集中審議が行われ、民進党・新緑風会の2番手として礒﨑哲史議員が質問に立ち、国内産業基盤強化の重要性に焦点をあてながら、(1)TPP交渉による工業製品の輸出関連への影響(2)自動車産業の現状と自動車関係諸税――等に関して取り上げた。

 礒﨑議員は、「TPPを含めてさまざまな経済連携も国内の事業基盤があってこそ」と述べ、自動車産業を例に国内の事業基盤に力を付けておくにはどうすべきかに関して議論した。戦後の1946年から2015年までの自動車の国内生産台数を示し、バブル景気時の1349万台が日本の国内生産台数のピークだったが、その後は減少し現状は928万台だと説明。約400万台の生産台数減は国内販売台数270万台減と輸出台数160万台減に起因すると分析するとともに、「輸出台数減と現地生産台数増加の要因は対米輸出の黒字が続くなかジャパンバッシングがあり、日本製品への風当たりが厳しくなったことで輸出の自主規制を80年代に行ったことによる」と自動車産業の実態を説明した。

予算委員会で質問する礒崎議員

 「産業として力を蓄え、さらに勝てる産業にするにはどうするか」について磯﨑議員は、国内生産台数ピークから現在までに減少してしまった分も開発・製造できる生産規模を整えることが必要だというのが業界の認識だと述べた。

 揮発油税、自動車の重量税、取得税など自動車関税諸税と国内販売台数の推移との相関関係も磯﨑議員は取り上げ、「税の設計のあり方によって国内の販売の状況や消費者の購買の行動には少なからず影響がある」と指摘し、世耕経済産業大臣に認識をただした。世耕大臣は「確かに消費税増によって減少するなど税制が国内販売に影響を与えたことは確かだ」とする一方、「若者の車離れや車が長持ちするから保有期間が長期化している」との見方を示した。

 礒﨑議員は2015年4月から軽自動車税が上がったことによって19カ月連続の前年比マイナスとなっている点にも着目し、「今後の税制を設計していくうえでは国内の販売についてどれだけの影響があるかを慎重に考えなければならない。国内企業の産業としての自力をつけるためにも税制の設計は慎重のうえにも慎重に決めなければならない」と問題提起。「われわれは従来から消費税増税にあわせて取得税の即時廃止、重量税についても『当分の間』税率の廃止を訴えてきた」と述べた。