衆院TPP(環太平洋経済連携協定)特別委員会で27日午後、総括的集中質疑が行われ、民進党の1番手として質問に立った今井雅人議員は、(1)山本大臣の「強行採決」発言(2)週刊誌報道(3)SBS米に関する調査報告書――等について取り上げ、政府の見解をただした。

 今井議員は冒頭、自身が26日に出席した北海道での地方公聴会では、野党推薦のみならず与党推薦の陳述者からも「中身がよく分からない」との声が多く上がったと指摘。「国民にはTPPは浸透していない」と述べ、国民の理解が深まるよう、充実した審議を強く求めた。

 そのうえで、強行採決に触れる山本農林水産大臣の発言をあらためて問題視。同じく強行採決に言及した同委員会の自民党筆頭理事が辞任した際、安倍総理は「結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」「この考え方とは相容れない発言だった。だからこそ国対委員長から注意がなされ、本人は辞職をした」と発言していたことから、「この理屈に従えば、任命者である総理大臣が大臣を注意し、大臣が自分で責任を取るべきではないか」と迫った。これに対し安倍総理は、「理事は委員会を運営する立場であり、山本大臣は運営に従う立場。しかし誤解を与えたことは事実。不適切な発言であり菅官房長官から注意がなされ、本人もおわびをして発言を撤回した」などと答弁。辞任の必要はないとの考えを示した。

 SBS米価格偽装問題をめぐっては、農林水産省の調査報告書では「調整金を使って価格を安くしたところはなかった」とあったが、24日付けの日本農業新聞では商社11社が「調整金を使って安くしていた」、同日付けの毎日新聞では卸業者10社が「調整金で価格を下げて市場に出ていた」とそれぞれ証言していると指摘。「農水省の調査の信ぴょう性が問われている。調査対象は同じはずなのに結果が異なるのはなぜなのか」とただした。

 山本農水大臣は「日本農業新聞、毎日新聞の調査について農水省はまったく関与していない。内容に対してコメントする立場にない」「農水省が調査し回答を得た相手方と同じかどうかの判断もできない。これを比べること、真否について判断することはできない」「私どもは非公表を原則に調査をしており、私どもの調査が正確だと考える」といったあきれた答弁に終始。今井議員は、「3者貿易に関わる全社を調査したのに、なぜ対象先が同じかどうか分からないと言うのか。少なくとも農水省が調査した対象先に含まれるはずだ」「公表するというよりも非公表を前提とした方が本当のことを話しやすい」などと反論し、農水省の調査の信ぴょう性を確認するためにも、質問票と聞き取りメモ、集計表を提出するようあらためて求めた。

農水省調査の信ぴょう性を確認するため、質問票と聞き取りメモ、集計表を提出を求める今井議員

農水省調査の信ぴょう性を確認するため、質問票と聞き取りメモ、集計表の提出を求める今井議員