民進党は27日午後、尊厳ある生活保障総合調査会(前原誠司会長=衆院議員)の第1回総会を国会内で開催。慶應義塾大学経済学部の井手英策教授から、「尊厳保障とはなにか――未来を分かちあえる社会をめざして」をテーマに講演を聞き、意見交換した。

 前原会長は冒頭のあいさつで、「代表選ですべての候補者が『人への投資』を訴え、特に子ども、職業訓練、高齢者といった方々の生活保障、尊厳保障をしっかりやっていこうということで考えが一致していた。そうした考えをしっかりまとめる代表直属の調査会をつくってもらえないかという話があり、喜んでお引き受けをした」と調査会設置の経緯を説明。「われわれは今の政権への対案をまとめるつもりはない。対案ではなく、われわれが目指す国家像とその処方箋をしっかり示していくことが大事だと思う。冷たい自己責任型の社会ではなく、しっかりと多くの方が尊厳と誇りを持って生活できるためにはどうすればいいのか。1年くらいをめどに財源も含めてしっかりと議論していきたい」と意気込みを語った。

 そのうえで、講師の井手氏からは多くのことを気づかされたと述べ、その1つとして、「無駄を削る、あるいは歳出を減らすことイコール改革ではないということ。もちろん無駄は削らなければいけないし歳出改革、行政改革は常にやり続けなければいけないが、本当に必要な施策については国民に応分負担を求めてもしっかりやる。これが大事だということだ」と強調した。

 蓮舫代表は、「今の政府が介護も負担を増やし、公費の支出を切っていく。年金も切っていく。それに対しての答弁は給料は上がり続けるからこの法案が発動されることはないという。立法府をあまりにもばかにするような論理の議論が続いている。振り返ると与党と野党は社会保障はどうしても『削る、批判する。批判する、削る』という繰り返しだった。そろそろこのループから抜け出し、社会保障の持続可能性はどうあるべきなのか、生活を保障することが経済の成長に寄与するという流れを理論でしっかり構築するのがわれわれ民進党が提案していく国家だと思っている」と主張。民主党時代に前原議員が財政再建の調査会、自身が人口減少問題の調査会をそれぞれ担当したとして、「2人で逃げずにこの国の未来予想図に向き合ってきた。それがなかなか1枚の絵になっていなかったことに対し、今回代表として、民進党としての生活保障のあり方、それが経済の成長につながるという理論をしっかりと構築してもらいたいと思って前原さんにお願いした。『尊厳ある生活保障総合調査会』という重々しい名前に負けない重々しい取りまとめをしっかりと時間をかけて作ってもらいたい」と呼びかけた。

 総会では、役員人事については前原会長に一任することを確認するとともに、前原会長から提案のあった(1)今後、2週間に1回をめどに総会を開催する(2)井手教授をアドバイザーとして迎える――ことを了承。今後1年をめどに井手教授と役員とで相談をしながらテーマ設定や講師を決め、議論していくこととした。