衆院本会議で28日、「パリ協定」が審議入りし、民進党・無所属クラブを代表して神山洋介議員が質問に立った。

 同協定は、2020年以降の地球温暖化対策の国際枠組みを定めるもので、世界共通の長期削減目標として、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑制することなどを規定するもの。今月4日に「55カ国以上・総排出量55%以上」という発効条件が満たされ、11月4日に発効の見込みとなる。3日後の7日からは、国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)がモロッコで開催され、パリ協定締約国による初会合(CMA1)の場で、協定の具体的ルール作りの議論が始まるが、日本政府は対応が遅れたため、この会合に議決権を持つ批准国として参加でいないことが確定している。

 神山議員は、(1)政府の対応が遅れた理由(2)第1回締約国会議に出席できない影響(3)国際社会でのルールメイキングの重要性(4)パリ協定の歴史的意義(5)2度目標達成に向けた各国の削減量とわが国の目標の見直し(6)エネルギー政策と温室効果ガスの削減(7)石炭火力発電の全敗(8)民進党のエネルギー政策――等について政府の見解をただし

た。

 政府の対応の遅れについて神山議員は、「政府対応の失態に対して強い不満を表明し、政府に猛省を促したい」と表明。この影響についてただしたが、岸田外務大臣は「パリ協定の実施指針策定にかかる交渉は本年5月に始まったばかりで採択は行われない見込みだ。COP22のための事前準備会合パリ協定発効後も協定未締結の国を含め開かれた形で交渉を進める必要があると確認されている。締約国として参加しないことがわが国の交渉での立場に実質的な影響を及ぼすとは認識をしていない」などと開き直った。

神山議員が政府の責任を追及

 神山議員は、パリ協定について「地球の気温上昇を産業革命前から平均で2度以下に保持、また、1.5度に抑える努力を追求することに途上国を含むすべての国が合意した点で、「歴史的意義のある協定と考える」と評価。「2度シナリオを実現するためには先進国として2050年までに温室効果ガスの排出量を80%削減し、2100年までにはゼロにすることを目標に掲げて、世界全体で達成しなければならない。この目標を達成するために、わが国も環境立国として技術と政策を総動員して、世界をリードしていかなければならない立場にあり、国としても相当な覚悟と努力が必要だ」と主張した。

 民進党は昨年5月、2030年に1990年比温室効果ガス30%の削減、2030年再生可能エネルギー30%以上の導入を目指すとする、エネルギーミックスの中間報告を取りまとめるとともに、これらの目標を実現するために、「分散型エネルギー利用促進法案」「熱利用促進法案」「公共施設省エネ再エネ義務化法案」「エネルギー協同組合法案」の「分散型エネルギー社会推進4法案」を国会に提出していると述べ、「地域の資源を活かした省エネルギーや再生可能エネルギーの導入をさらに進め、地域の暮らしと経済を活性化すると同時に、温室効果ガスの大幅削減を実現できるものであり、パリ協定での日本の取組前進にも大きく寄与する。政府としても成立に協力してほしい」と呼びかけた。

 世耕経済産業大臣は、「政府としては再生可能エネルギー等を活用した分散型エネルギーシステムの構築の推進は重要だと認識している」とするものの、4法案の取り扱いについては「国会で議論されご判断されるもの」と答え、言及を避けた。