衆院TPP特別委員会で28日、緒方林太郎議員が質疑に立った。

 緒方議員は冒頭、国連総会の委員会で、核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指す決議案に日本が反対をしたことについて、「われわれは、反対という選択肢はないと考えてきた。日本は23年間、核廃絶の決議案を出してきたが、今回より具体的な法的拘束力のある条約案の審議をしようという決議案に、日本は反対した。大きな目標としては核廃絶をめざしているが、具体的行動に移すことには反対していると見られてしまう。矛盾しているのではないか」と指摘した。

 TPP再交渉について、「米側が日本国内の制度変更を強く要求してきた場合でも、それに絶対に応じないという政府答弁があった。また、法的拘束力のない文書を通じて、米側の希望が示された場合でも対応しないとも答弁した。再確認したい」「TPPの再交渉はしないということだが、TPP協定を補完するような新たな協定によって他国からの要望に応えるような可能性は排除されているのか」と確認を求めた。石原TPP担当大臣は、「新たに国内的な手続きが1国の要求で一方的に行われることはない」と答弁した。緒方議員は「再交渉はしない、新しい協定もやらない、国内法を改正しろという要求にも応じない、法的拘束力のないものでも応じない――ここまで確定した」とまとめた。

緒方林太郎議員

 続いて食品表示について、「日本が輸入しているトウモロコシのうち概ね71%、大豆は89%は遺伝子組み換えだ。しかしそれだけ多く遺伝子組み換えの農作物を輸入しているのに、普通に市販されている商品を見てもほとんど遺伝子組み換えの表示がない」と指摘すると、安倍総理は「遺伝子組み換え表示の義務の対象となるものは、対象となる加工食品が遺伝子組み換え農作物を含むものかどうか科学的に検証できることが前提となっている。例えば大豆加工品のうち、豆腐については分かる。しかし食用油や醤油については、検出できないので表示義務の対象になっていない」と答えた。

 緒方議員は、「今自分が食べているものが、遺伝子組み換えなのかどうなのか分からないという状況だ。消費者の選択する権利を著しく狭めている。今の表示義務の規定だと、消費者はきわめて多くの情報を持っていないと判断できないことになる」と述べ、さらに「TPP協定では、新しい食品表示の規制を設けようとすると著しく困難になる。そこに不安がある」と指摘した。